見る 見る一覧

ずいき祭(北野天満宮)EC

秋の豊かな実りに感謝するずいき祭

京都の秋祭りの先陣を切ると言われる、北野天満宮のずいき祭。秋晴れの中、きらびやかな鳳輦(ほうれん)を中心とする祭列や、野菜や穀物で飾られたずいき御輿が地域を巡行しました。

五穀豊穣に感謝するお祭り

10月1日から5日にかけて斎行される、北野天満宮のずいき祭。ずいきは瑞饋とも書かれ、めでたいしるしを贈ることだとされています。平安時代に、西之京の神人(じにん)が五穀豊穣に感謝し、重陽の節句に収穫した穀物や野菜などを草花で飾って、菅原道真の神前に供えたのが、ずいき祭の発祥と伝わっています。

ずいき祭(北野天満宮)1
1日に行われた、北野天満宮から御旅所へ、鉾や鳳輦からなる祭列が巡行する神幸祭。
ずいき祭(北野天満宮)2
御旅所では、2日に表千家宗匠による献茶祭、3日に甲御供奉饌(かぶとのごくほうせん)が執り行われる。西ノ京七保会による甲御供奉饌では、かぶとを模した神饌が供えられる。
収穫物で飾られるずいき御輿

ずいき御輿は、芋の茎で屋根を葺き、柱や瓔珞(ようらく)なども野菜や穀物で飾り付けた、食べ物で作られた御御輿。9月1日の千日紅摘みから御輿造りが開始。9月30日にずいきを収穫して屋根を葺き、飾りを付けて、1カ月がかりで御輿が完成します。欄間の飾りは保存会会員が手分けして作成。毎年趣向を凝らした様々な飾りが作られるので、これを楽しみにしている人も多いとか。御輿は祭礼期間の1日から御旅所に飾られ、4日に氏子区域を巡行します。

ずいき祭(北野天満宮)3
ずいき御輿は京都市の無形民俗文化財指定を受け、西之京瑞饋御輿保存会によって伝統が受け継がれている。子供御輿もずいきが葺かれ、植物で飾り付けられている。
ずいき祭(北野天満宮)4
屋根を葺くずいきは、上側の赤色が海老芋、下側の緑色が里芋の茎。頭芋に彫刻を施した獅子頭や、寿司のりや麦わら細工で飾った鳥居など、どこを見ても食べ物ばかり。
ずいき祭(北野天満宮)5
四隅を飾る瓔珞は赤茄子や五色とうがらしなどを糸で連ねて作られている。天満宮と書かれた柱は赤と白の千日紅を糸で通して巻き付けたもの。賀茂茄子に似せた鈴は、唯一の金属製の飾り。
最も賑わう還幸祭

御旅所からずいき御輿と祭列が出御し、地域を巡行する還幸祭は、ずいき祭のハイライト。巡行の道筋は、華やかなずいき御輿や祭列を一目見んと詰めかけた見物客で賑わいます。祭列は北野天満宮へ、ずいき御輿は御旅所へ還御し、還幸祭は終了。翌日5日に北野天満宮で后宴祭が営まれ、ずいき祭は幕を閉じます。ずいき祭が行われると、いよいよ秋本番。京都の街にも秋祭りの季節が到来です。

ずいき祭(北野天満宮)6
ずいき御輿は北野天満宮の横でお祓いを受け、御旅所へ還っていく。
ずいき祭(北野天満宮)7
花街の上七軒では、舞妓さんもお祭り見物。当たり前のように舞妓さんと地元の人々、観光客が並んで祭列を眺めるさまは、京都ならではの光景。

基本情報

  • 寺社名
    北野天満宮
    住所
    京都市上京区馬喰町
    電話番号
    075-461-0005
    URL
    http://www.kitanotenmangu.or.jp
  • 寺社名
    北野天満宮御旅所
    住所
    京都市中京区西ノ京御輿岡町

この記事を書いた人

にっしー
音楽と文学をこよなく愛する関西人。母なる琵琶湖のほとりで生まれ育ち、京都に移り住んで十数年。バス停で困っている修学旅行生に道案内をするのが趣味。