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夏目漱石が訪れた京都EC

夏目漱石が訪れた京都~虞美人草の舞台を訪ねる~

夏目漱石は生涯に4度京都を訪れ、その体験を作品に反映させました。京都と東京を舞台に描かれる『虞美人草』をテーマに、漱石が訪れたスポットを訪ねてみましょう。

夏目漱石は京都が好きだった?

明治を代表する文豪・夏目漱石は、明治25年の夏に始めて京都を訪れ、その後は同40年春、42年秋、大正4年春に再訪しています。京都に滞在中はあちこちに出かけ、名所旧跡を訪ね歩きました。特に2度目の来京では2週間以上滞在し、職業作家としての第1作目である『虞美人草』の取材のためにあちこち足を運んだそうです。

夏目漱石 - 糺の森
漱石は2度目の京都滞在時に、エッセー『京に着ける夕』を執筆。糺の森を訪れた様子が書かれている。
漱石も登った比叡山

『虞美人草』は、比叡山登山の場面から始まります。漱石は1度目と2度目の京都訪問時に、比叡山に登頂。このときの経験が、作品の描写に磨きをかけています。当時は徒歩で登頂するしかありませんでしたが、現在はケーブルカーやロープウェー、バス路線が整備され、気軽に登れる山になりました。比叡山に登り、漱石になったつもりで眺望を楽しんでみましょう。

夏目漱石 - 平八茶屋
作中で登場人物の甲野さんが、一向にたどり着かない比叡山を前に「今日は山端の平八茶屋で一日遊んだ方がよかった。」と言うシーンがある。
夏目漱石 - ケーブル八瀬駅
作中に登場する宗近君と甲野さんは、高野川沿いに北上し、鯖街道を通って八瀬から山頂を目指した。初心者には厳しい山道なので、ケーブルカーを利用しよう。秋は車窓から見る紅葉が素晴らしい。
夏目漱石 - 比叡山1
ケーブルカーを降りると、京都1周トレイルのコースに出る。歩きやすい道なので、ロープウェーに乗らずにトレイルコースを歩いて山頂方面や東塔、西塔へ向かおう。時折眺望が開け、漱石も目にした、比叡山からの京都の眺望を楽しめる。
夏目漱石 - 比叡山2
トレイルコースを外れ、山頂へ向かうと、作中で「琵琶の銘ある鏡」と表現される琵琶湖方面の眺望が開ける。
保津川下りと嵐山

漱石は2度目の京都訪問時に、保津川下りも楽しみました。『虞美人草』で描写される保津川下りの描写は、目の当たりにした者にしか表現できない臨場感で溢れています。嵐山の風景も漱石ならではの美しい文体で綴られ、一読すれば風景が目に浮かぶよう。実際に作品に登場する地を訪れ、再び作品を読めば、描かれる世界をさらに深く感じることができます。ロケ地めぐりならぬ取材地めぐりを楽しんでみませんか。

夏目漱石 - 天龍寺
紅葉に包まれる天龍寺の境内。作中で、宗近君と甲野さんは天龍寺を訪れる。その後、丹波行きの汽車に乗り、亀岡へ向かう。
夏目漱石 - 保津川下り1
元来、水運として利用されていた保津川下り。明治30年頃には観光目的での川下りが行われるようになり、漱石も川下りを楽しんだ。『虞美人草』では、美文調で川下りの様子を鮮やかに描き出している。
夏目漱石 - 保津川下り2
保津川下りの船は、渡月橋の上流で終点。山河が創り上げた険しくも美しい風景を、漱石も愛でたであろう。

基本情報

  • 寺社名
    糺の森
    住所
    京都市左京区下鴨泉川町
  • 店名
    山ばな平八茶屋
    住所
    京都市左京区山端川岸町8-1
    電話番号
    075-781-5008
    URL
    http://www.heihachi.co.jp/
  • 施設名
    ケーブル八瀬駅
    住所
    京都市左京区上高野東山
    電話番号
    075-781-4338
    URL
    http://eizan.keifuku.co.jp/
  • 寺社名
    天龍寺
    住所
    京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町68
    電話番号
    075-881-1235
    URL
    http://www.tenryuji.com
  • 施設名
    保津川下り(保津川遊船企業組合)
    住所
    京都府亀岡市保津町下中島2
    電話番号
    0771-22-5846
    URL
    https://www.hozugawakudari.jp/

この記事を書いた人

にっしー
音楽と文学をこよなく愛する関西人。母なる琵琶湖のほとりで生まれ育ち、京都に移り住んで十数年。バス停で困っている修学旅行生に道案内をするのが趣味。