見どころ

当尾の里で石仏と出会う

2017-12-25

京都府の南部、奈良との府県境付近に広がる山里・当尾(とうの)の里。当尾の里は、石仏の里として知られています。行き交う人々を穏やかに見守り続ける石仏たちに出会う旅に出発です。

仏教の里・当尾

当尾の里は古くから南都仏教の影響を受け、聖地とされてきました。世俗の喧騒を逃れようと、僧侶たちがこの地に草庵を結び隠棲。その草庵がやがて寺院になり、塔頭が建ち並び「塔の尾根」ができて、これが後に「とうの」に呼ばれるようになったと考えられています。奈良時代に聖武天皇の勅願で行基が建立したと伝わる岩船寺や浄瑠璃寺が、今も歴史を刻み続けています。

 

岩船寺
岩船寺の本尊は、10世紀を代表する阿弥陀如来像として知られる。室町期の三重塔が、季節の花々と調和する庭園が美しい。

 

浄瑠璃寺
浄瑠璃寺は別名九体寺。本堂に安置される九体阿弥陀如来にちなむ名称だ。宝池を中心に、東に薬師仏、西に阿弥陀仏を配した庭園は、極楽の世界を表現している。

 

 

石仏を訪ね歩く~岩船寺から浄瑠璃寺へ

当尾の里は、かつて修行場として栄え、磨崖仏が数多く彫られました。道しるべとしての石仏が今も多く残り、往来を優しく見守り続けています。当尾の里の石仏は広範囲に分布していて、すべてを巡ると一日がかり。手軽に巡るなら、所要時間約50分の岩船寺から浄瑠璃寺へ到るコースがおすすめ。辻ごとに立てられた道標に従いながら、石仏を訪ね歩きましょう。

 

岩船寺 - 三体地蔵磨崖仏
岩船寺の門の左手、案内に従い細い道を上っていくと、三体地蔵磨崖仏へと到る。三体の地蔵はそれぞれ過去・現在・未来を表すとされる。

 

岩船寺 - 弥勒菩薩磨崖仏
修行場を思わせる細い山道を歩き続けると、ミロクの辻に出る。巨岩に線彫りされた弥勒菩薩は、笠置寺の本尊の弥勒菩薩磨崖仏(焼失)を忠実に模写したもの。

 

岩船寺 - 不動明王
岩船寺奥の院の修行場にある大岩に彫られた不動明王は、通称一願不動。ただ一つだけ一心に願えば、叶えてくれるという。

 

 

穏やかにほほえむ仏様

当尾の里の石仏の多くは、鎌倉時代に彫られたもの。現存するもので最も古いのは藪の中三尊磨崖仏で、弘長2年(1262)の作との記録があります。永仁7年(1299)作のわらい仏をはじめ、どの石仏の表情も優しく穏やか。手を合わせ、心静かにお参りしましょう。代表的な石仏には、それぞれ解説が記された案内板が立てられているので、歴史やいわれについて知ることもできます。

 

当尾の里 - わらい仏
当尾の石仏の代表格であるわらい仏。観音菩薩と勢至菩薩を従えた阿弥陀如来が刻まれている。上部の岩が廂になっているため、風雨の影響が少なく保存状態が良好。わらい仏の傍らには、地蔵菩薩が土の中に半分埋まった、ねむり仏もある。

 

当尾の里 - 唐臼(からす)の壺
道が分岐する場所に唐臼(からす)の壺と呼ばれる、穴が穿たれた岩がある。その近くにあるのがカラスの壺二尊。大岩の二つの面に、阿弥陀如来と地蔵菩薩が彫られている。

 

当尾の里 - 藪の中三尊磨崖仏
随願寺の塔頭があったと伝わる場所にあるのが、現存最古とされる藪の中三尊磨崖仏。正面に地蔵菩薩と十一面観音、左手に阿弥陀如来が配される、珍しい配置になっている。

 

 

石仏の里を楽しむ

当尾の里を歩くと時折出会う、地場の野菜や漬け物を売る露店。商品を横に渡した木に吊り下げて売る珍しいスタイルで、吊り店と呼ばれます。この吊り店を覗くのも、散策の楽しみの一つ。石仏と共に旅人を見守り続けたあたご灯籠や丁石など、当尾の里には見所がたくさん。石仏の里に広がる山村の風景を楽しみましょう。

 

当尾の里 - 吊り店
吊り店では、あまり見かけないような珍しい野菜が売られていることもある。商品を選んで料金箱に代金を入れる、無人販売のスタイル。

 

当尾の里 - あたご灯籠
細長い自然石を使用したあたご灯籠。かつて当尾の里では、このあたご灯籠からおけら火を採り、雑煮を炊く風習があったそうだ。
当尾の里
施設名 当尾の里
住所 京都府木津川市加茂町
電話番号 0774-73-8191(木津川市観光協会)
URL http://0774.or.jp/index.html

岩船寺
寺社名 岩船寺
住所 京都府木津川市加茂町岩船上ノ門43
電話番号 0774-76-3390
URL

浄瑠璃寺
寺社名 浄瑠璃寺
住所 京都府木津川市加茂町西小札場40
電話番号 0774-76-2390
URL

この記事を書いた人

にっしー
音楽と文学をこよなく愛する関西人。母なる琵琶湖のほとりで生まれ育ち、京都に移り住んで十数年。バス停で困っている修学旅行生に道案内をするのが趣味。