京阪宇治駅から宇治川に沿って歩くこと約10分。朝日山の山裾に、恵心僧都ゆかりの寺「恵心院」が門を構えています。花の寺とも呼ばれる恵心院に、見ごろを迎えた水仙を見に行ってみませんか。
空海開基の古刹
宇治川に架かる朝霧橋のすぐそば、福寿園の製茶工場横の道を山へ向かって上ると、恵心院の門前に出ます。恵心院の創建は弘仁12年(821)。開基である空海が唐で学んだ青龍寺に地形が似ていたことから、当時は「龍泉寺」と呼ばれていたそうです。その後、戦火に遭い堂宇が破壊されますが、寛弘2年(1005)に比叡山横川(よかわ)の恵心僧都により再興され、朝日山恵心院と呼ばれるようになりました。
源氏物語のモデルとなった恵心僧都源信
源氏物語宇治十帖のヒロイン・浮舟は、宇治川に身投げしましたが、横川の僧都に助けられます。この横川の僧都のモデルが、恵心院中興の祖となった恵心僧都源信と言われています。源信は「往生要集」の著者としても知られ、その中で説いた浄土念仏の思想は法然や親鸞に大きな影響を与えました。恵心院には、恵心僧都自作の像や、自筆の「山越の来迎阿弥陀如来図」などが伝わっているそうです。
四季折々の花々が彩る境内を歩く
朝日山のふもとに位置する恵心院のこぢんまりした境内には、一年中さまざまな花が咲いています。1月から2月にかけては、水仙が見ごろ。境内のいたるところで白い可憐な花が咲き、芳香を漂わせています。椿や寒桜、梅も見逃せません。桜、山吹、紫陽花、ノウゼンカズラ…と季節の花が咲き次いでいくので、何度も訪れたくなるお寺です。