見る 見る一覧

正法寺10

徳川家ゆかりの正法寺

石清水八幡宮が鎮座する男山の南に、徳川家と深い縁を持つ正法寺があります。狩野派と推測される障壁画や襖絵、男山を借景に整備された庭園など、見どころ満載の正法寺の魅力を紹介します。

鎌倉時代開創の寺

正法寺は建久2年(1191)の開創で、当時は天台宗の寺院でした。室町時代後期に、浄土宗に改宗。後奈良天皇の帰依を受け、天分15年(1546)に勅願寺になりました。江戸時代には、石清水八幡宮社務であった田中家の分家の、正法寺・志水宗清の娘お亀(相応院)が徳川家康の側室となり、後の尾張藩祖・義直を産みます。相応院の菩提寺となった正法寺は、尾張藩の厚い庇護を受けて栄えました。

正法寺1
京都から高野山への参詣道・東高野街道に面して境内が広がる正法寺。
正法寺2
長持の葵紋が、徳川家との深い縁を示している。
正法寺3
御朱印には、後奈良天皇の勅願寺であることと、尾張徳川家ゆかりの寺であることが記されている。
商品名:「御朱印」200円

寛永年間の伽藍を拝観

正法寺の現在の伽藍は、寛永6年(1629)頃に相応院の寄進によって建立されました。いずれも重文指定の本堂や大方丈、唐門など、当時の建物がそのまま保たれています。通常は非公開ですが、年に数回公開されているので、ホームページ等で公開日をチェックして、訪れてみてはいかがでしょうか。

正法寺4
透かし彫りや浮彫など、見事な装飾が施された唐門。
正法寺5
山号「徳迎山」が記された唐門の扁額は、後奈良天皇の宸筆(しんぴつ)。
正法寺6
大方丈は禅宗寺院の建築様式。障壁画や襖絵は必見。
正法寺7
相応院の発願により建立された本堂。

豪華な装飾や風情ある庭園

正法寺の本堂には、12世紀末頃に制作されたとされる阿弥陀三尊像を安置。金色に輝く像や、堂内に施された精緻な装飾が見事です。本堂の軒は二重になっていて、垂木の先には金色の逆輪(さかわ)が取り付けられ、徳川家ゆかりの寺院ならではの風格を見せています。大方丈は格天井(ごうてんじょう)や狩野派につながる絵師の襖絵など、格式の高さが感じられる内装。小方丈と書院の間の庭園は、男山を借景にしていて風趣に富んでいます。桜の季節と中秋、大晦日にはライトアップも行われます。

正法寺8
本堂の垂木に付けられた、金箔が施された逆輪。
正法寺9
袴腰式の鐘楼は、元和7年(1621)の建立。大晦日には除夜の鐘を撞くことができる。
正法寺10
四季折々の趣が楽しめる本堂前の庭園。
正法寺11
書院から眺める庭園は、自然が巧みに取り入れられている。

基本情報

  • 寺社名
    正法寺
    住所
    京都府八幡市八幡清水井73
    電話番号
    075-981-0012
    URL
    http://shoboji.or.jp/

この記事を書いた人

にっしー
音楽と文学をこよなく愛する関西人。母なる琵琶湖のほとりで生まれ育ち、京都に移り住んで十数年。バス停で困っている修学旅行生に道案内をするのが趣味。