藤原佐理(すけまさ)、藤原行成とともに、三蹟と呼ばれる小野道風。和様の書風を確立したとされる道風を祀る神社が、北区杉坂の山中に鎮座しています。
北山杉が美しい杉坂の里
京都駅からJRバス「周山」行きに乗車し、約1時間揺られると、杉坂口に着きます。周山(しゅうざん)街道と呼ばれる国道162号から、鷹峯(たかがみね)街道と呼ばれる府道31号線に入ると、山あいに点々と杉坂の集落が続きます。この辺りはかつて林業で栄えた町。今でも美しく植林された北山杉の木立や、台杉を見ることができます。
能書家・小野道風
鷹峯街道を歩いていくと、杉坂口バス停から40分弱で道風神社に到着します。道風神社の創建は延喜20年(920)と伝わり、社名が示す通り、三蹟の一人に数えられる能書家・小野道風を祀っています。社伝によると、道風が杉坂の産土神(うぶすながみ)和香(わこう)社の霊水で墨をすり、書の修業をして出世したことから、道風を氏神として祀ったそう。遺品とされる唐鏡や硯、筆、文鎮などが、社宝として伝わっています。
書道上達を祈願しよう
道風神社の境内には、禁中御修法(みしほ・天皇家の作法や日常生活における習い事)用に献上された霊水の、和香水の石碑があります。また、参道脇には積翠池(しゃくすいいけ)と呼ばれる池があり、この池の水で墨をすると、書道が上達すると伝わっています。小野道風のように霊水で墨をすって練習すれば、書道上達も叶うかもしれませんね。