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道風神社7

小野道風を祀る道風(とうふう)神社

藤原佐理(すけまさ)、藤原行成とともに、三蹟と呼ばれる小野道風。和様の書風を確立したとされる道風を祀る神社が、北区杉坂の山中に鎮座しています。

北山杉が美しい杉坂の里

京都駅からJRバス「周山」行きに乗車し、約1時間揺られると、杉坂口に着きます。周山(しゅうざん)街道と呼ばれる国道162号から、鷹峯(たかがみね)街道と呼ばれる府道31号線に入ると、山あいに点々と杉坂の集落が続きます。この辺りはかつて林業で栄えた町。今でも美しく植林された北山杉の木立や、台杉を見ることができます。

道風神社1
北山の里が発祥とされる、杉の育成法の一つである台杉。幹から何本もまっすぐな立ち木が伸びる姿が面白い。
道風神社2
西の鯖街道と呼ばれる周山街道から京の都へ至る鷹峯街道。杉坂口交差点から約30分で、杉坂道風町に入る。

能書家・小野道風

鷹峯街道を歩いていくと、杉坂口バス停から40分弱で道風神社に到着します。道風神社の創建は延喜20年(920)と伝わり、社名が示す通り、三蹟の一人に数えられる能書家・小野道風を祀っています。社伝によると、道風が杉坂の産土神(うぶすながみ)和香(わこう)社の霊水で墨をすり、書の修業をして出世したことから、道風を氏神として祀ったそう。遺品とされる唐鏡や硯、筆、文鎮などが、社宝として伝わっています。

道風神社3
道風神社へは、「思君(しくん)橋」と名付けられた、杉坂川にかかる朱塗りの橋を渡る。
道風神社4
山の斜面に沿って建つ道風神社の参道は、苔むした階段。しんと静まり返り、厳かな雰囲気が漂う。
道風神社5
道風神社の本殿。道風武大明神とも呼ばれ、地域の氏神として大切に守られている。
道風神社6
不動明王を祀る明王堂。かつてこの地には明王寺があり、小野道風はこの明王寺で書の修業をしたという。

書道上達を祈願しよう

道風神社の境内には、禁中御修法(みしほ・天皇家の作法や日常生活における習い事)用に献上された霊水の、和香水の石碑があります。また、参道脇には積翠池(しゃくすいいけ)と呼ばれる池があり、この池の水で墨をすると、書道が上達すると伝わっています。小野道風のように霊水で墨をすって練習すれば、書道上達も叶うかもしれませんね。

道風神社7
和香水の碑。横に碑文の解説が書かれた立札が建っている。
道風神社8
参道の途中にある積翠池。小野道風もこの水を使ったと伝わっている。

基本情報

  • 寺社名
    道風神社
    住所
    京都市北区杉坂道風町1

この記事を書いた人

にっしー
音楽と文学をこよなく愛する関西人。母なる琵琶湖のほとりで生まれ育ち、京都に移り住んで十数年。バス停で困っている修学旅行生に道案内をするのが趣味。