京都 ええもん、ええとこ

錦市場の真髄を余すことなく楽しめる和食レストラン「斗米庵」

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2018-08-29

「京の台所」と呼ばれ、400年以上の歴史がある錦市場。昨今は人気観光スポットとして注目され、食べ歩きできるお店が増えていますが、錦市場は長きにわたり京の料亭の味を支え、目利きのプロを唸らせる食材の宝庫であり、その実力は今も健在です。そんな錦の食材をふんだんに使った、和食レストラン「斗米庵(とべいあん)」が今春オープンし、話題を集めています。

斗米庵1
多くの観光客で賑わう錦市場には食材を求める料理人や京都人の姿も見られ、まさに「京の台所」。

 

喧騒を忘れる、路地奥にひっそりと佇む隠れ家

錦小路の歴史は非常に古く、延暦年間(782〜805年)に開かれたといわれています。ここに市場が開かれたのは、地下水の存在が大きく関わっているのだとか。清冽な地下水で生ものを冷やして貯蔵ができたこと、また京の中心地にあり、御所に食材を収めやすかったことなどがその理由として挙げられます。江戸時代、1615(元和元)年に、幕府より魚問屋の称号を授かり、その後、長く、魚市場として栄えてきました。

今も昔と変わらぬ賑わいを見せる錦市場の通りから、細い路地へ踏み入れると、そこは静かな別世界――。ほの暗い路地を一歩ずつ進み、抜け出た途端、モダンな和の空間「斗米庵」が現れます。「斗米庵」という店名は、絵師・伊藤若冲の号を冠したもの。じつは、若冲は錦市場の青物問屋に生まれ、ここで育ちました。若冲は錦市場を何より愛し、市場の営業権をめぐる危機に際しては非常に尽力したといわれています。

 

斗米庵2
若冲のタペストリーがかかる錦市場。

 

若冲ゆかりの庵の名を掲げたこの店をプロデュースしたのは、ミシュランガイドで二つ星を獲得し続ける「祇園さゝ木」の主人、佐々木浩さん。料理の腕をふるうのは、佐々木さんの弟子である、鮫島誠さんです。

 

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賑やかな市場の中にありながら、間口の狭い路地を一歩入るとそこは静かな空間。「斗米庵」は隠れ家のように佇む。

 

天然木や石、和紙を巧みに配した店内には、奥の坪庭から柔らかく日が差し込みます。「お客様のお食事のスピードに合わせて、ベストなタイミングで料理を運べるように」と、壁に組み込んだガラスの向こうの厨房からは20席すべてのお客さんに細やかに目が届く設計になっています。

 

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隣席と程よい距離があるシックな空間に、市場の喧騒を忘れてしまう。

 

 

温故知新の精神で「錦市場ならでは」の味を探求

斗米庵では「祇園さゝ木」で定評のあるレシピを基本に、食材は肉などの一部を除いて、錦市場内から毎日、調達した新鮮なもので組み立てています。

「日々扱う錦市場の食材は本当に素晴らしくて、そのクオリティに恥じない料理をしなければと思っています。茹でる、晒す、煮る、そして、だしを生かす。錦の水の力を活かして、食材の風味を最大限に引き出していくことを考えています」と鮫島料理長。

料理の生命線となるだしも、昆布やカツオ節など、すべて錦のものを使用。錦の水は軟水の中ではやや硬水に寄っているため、だしを引くのも苦労したのだとか。試行錯誤を重ねて、ようやく、納得できるだしが完成したそうです。

毎月の献立は、佐々木さんにも試食してもらい、共に作りあげていきます。先付、前菜、椀、お向、焼き物、鉢物、お食事、ラストの水菓子まで一品ずつしっかり食べ終えた佐々木さんは、最後に鮫島さんに料理の感想を伝えます。時に厳しい意見を取り混ぜつつ、真剣に話しかける佐々木さん。鮫島さんもまた、真剣な面持ちで頷きつつ、その言葉を受け止めます。

 

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じっくりと味わい、メモを取りながら試食する佐々木さん。

 

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盛り付けや味付けの意図を伝える鮫島さん。それを受け、佐々木さんから的確なアドバイスが行われる。

 

「京料理の伝統に軸を置きながら、遊び心をプラスして、さらに、錦市場にあるからこそ可能な、新たな食文化を作って欲しい」と佐々木さん。

佐々木さん仕込みの味に、鮫島さんのエッセンスが加わり、「斗米庵」らしい料理が作られていきます。

 

 

「また来たい」と思ってもらえる余韻の残る料理に

「斗米庵」の料理の強みは、なんといっても店が錦市場の懐深くにあること。市場ならではの新鮮で高品質な食材を駆使して、昼夜のコースに仕立てています。「コースに緩急をつけながら、食べ終わった時に、しみじみと“ああ、美味しかった”と余韻に浸っていただけるような、そして“また食べに来たい”と思っていただける料理を目指しています」と鮫島さん。

とくに夜のコースでは、お造りとメイン料理について、錦市場から調達した魚、野菜、肉などの食材がたっぷり盛られたネタ箱からお客さん自身が好みの素材を選び、料理長おすすめの調理法で調理します。

 

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豪華なネタ箱を目の前にすると、食事への期待感がいっそう高まる。

 

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本日のネタ箱から、のどぐろ、焼き鱧、まぐろをチョイスしたお造り。

 

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メインは立派な太刀魚を選び、塩焼きに。万願寺唐辛子の焼き浸しにすだちの香味が効かせてある。

 

選び抜かれた器に、鮫島さんの感性で四季折々の料理を盛り、目でみて眼福、舌で味わって口福、しかも自分で食材を選ぶという楽しさまで加わって、ここでは美味しい幸福がずっと連鎖していきます。

 

 

歴史に思いを馳せ、錦市場でいただく旬の恵み

「古くからクオリティの高い錦の食材と、御所の水脈を引く豊かな水。さらに市場の中という地の利があるので、旬味旬菜をいち早く取り込むことができます。こんな恵まれた環境で料理ができることは、料理人として本当に幸せなことです。だからこそ、しっかりと気持ちを込めて取り組んでいかなあかんと思っています」と実直な鮫島さんは語ります。

 

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鮫島さんの思いは盛り付けの繊細さにも表れる。

 

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先付は食感なめらかな南瓜餅に、長芋そうめんやえだまめを添えたもの。花穂のピンクが愛らしく映える(料理はすべて取材時のもの)。

 

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涼しげなガラスの器に盛られた前菜の数々。無花果甲州煮、ミニトマト杏酒漬け、海老塩ゆがき、空芯菜、ズッキーニ胡麻酢かけ、スモークサーモン芋寿司、蛸柔らか煮、なんばかき揚げなど彩り豊か。

 

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鱧天ぷら、焼茄子煮浸し、万願寺を糸花鰹と山椒の香りと共にいただく鉢物。

 

「たくさんの方に錦に買い物に来てもらって、この路地を入って、“隠れ庵”の風情の中でくつろぎながら、旬を贅沢に感じていただけたら」。

東西390メートルにも及ぶ狭い通りに、126もの商店がずらりと軒を連ね、日々たくさんの人々で賑わう“京の台所”。その奥に静かに佇む隠れ家で、丹精込めた料理を通して、錦市場の歴史や伝統、エッセンスに触れる――。錦市場のツウな楽しみ方が、また一つ、増えました。

 

 

〇 最新情報 〇

斗米庵では錦市場の魅力を発信するべく、10月から月1回の完全予約制で、美食LIVEイベントを開催。月替わりで京都の有名シェフが登場し、市場内の老舗の食材を使ってライブクッキング方式で秀逸なコース料理に仕上げます。限定10名で、第1回は、「祇園さゝ木」の佐々木浩さんが登場。詳しくはオフィシャルサイトをご確認ください。

 

 

店名 斗米庵(とべいあん)
住所 京都市中京区東魚屋町196−1
電話 075-257-7666
営業時間 12:00~14:30 、18:00~22:00
定休日 水曜
料金 昼コース5000円、夜コース8000円と12000円 ※いずれも税サ込み
URL https://tobeian.jp/

 

 

(photo:内藤貞保/text:郡 麻江)