京都の地酒と聞いて多くの人がまず思い浮かべるのは、日本三大酒処のひとつ、伏見のお酒ではないでしょうか。しかし、京都には伏見以外にもいろいろな地酒があり、まだまだ知られていないのが正直なところ。そんななかで、意外なお酒をラインアップしているのが「KYOTO TOWER SANDO」1階の地酒を扱う「京土愛」です。
こだわるわけは「京土愛」
「京土愛」がある「KYOTO TOWER SANDO」は、京都タワーの地下1階から2階までの3フロアの総称。足を延ばさないと行けない郊外のお店をはじめ、選りすぐりの名店が揃い、観光客はもちろん京都人も御用達です。1階には和菓子、洋菓子をはじめ、和小物、コスメ、地酒などツウ好みのお土産が買える多彩なお店が並んでいます。
「京土愛」でまず目に飛び込んでくるのが大きな樽のディスプレイ。京丹後にある大石酒造の翁鶴のもので、市内ではあまり見かけないお酒のひとつです。
酒樽の横には焼酎の瓶がずらり。日本酒を醸す北川本家が造った米焼酎や京丹後にある焼酎の蔵元・丹後蔵の芋焼酎など、珍しい地焼酎ばかりです。
焼酎はすべて瓶に入っているので熟成されて味がまろやか。オリジナルボトルでの量り売りはお土産にぴったりです。
ほかにも見たことのないお酒がセレクトされており、もちろん京都の地酒ばかり。京都・郷土を意味する店名「京土」への愛がうかがえる、こだわりのラインアップです。
知ってほしい、京都のお酒の魅力
「京土愛」では、市内で見かけない希少なお酒のほかにデザイン性の高さもセレクトのポイントにしています。「うちに来てくださるお客さんはお酒に詳しくない人も多いんです。その場合、手に取りやすいデザインのラベルやボトルは重要ですよね。まずはお酒を身近に感じてほしい」とオーナーの金谷竜大さん。京都駅前、観光地という立地ならではの視点を大切にしているそう。たとえばクラフトビールは、知る人ぞ知る道の駅丹後王国「食のみやこ」で醸造されている丹後王国クラフトビールを販売しています。
希少性とラベルのイラストのかわいらしさが琴線に触れたといいます。ワイン好きの人へのお土産には洗練されたボトルの丹波ワインを。京都の食文化に合うように造られているのが特徴で、和食にもぴったりです。
クラフトビール、ワイン、焼酎、梅酒、日本酒……すべて合わせると約80種が並んでいますが、6割以上は日本酒が占めています。こちらは、お酒好きも唸る珍しいものが多くなっています。
たとえば、最近注目を集めている丹後半島伊根町にある向井酒造のお酒は、代名詞の「伊根満開」ではなく、純米吟醸生原酒の「舟屋の里うすにごり」をセレクト。棚をじっくり見ていくとオーナーのこだわりが随所に光っています。「市内はどうしても伏見のお酒が多くなるので、うちは郊外のお酒に力を入れています」
おみやげにしたくなるオリジナル酒
数ある日本酒のなかでもダントツの人気を誇るのは、京土愛オリジナルのお酒。ここでしか買えない限定品で、3種類あります。
京都市には日本酒乾杯条例があり、乾杯の一杯目はビールではなく日本酒を推奨しています。【京都では、にほんしゅでかんぱいしておくれやす】と書かれたステッカーやポスターを目にした人もいるかもしれません。このコピーが書かれたラベルのお酒も京土愛オリジナル酒。元禄年間創業の大石酒造とのコラボ酒です。
大石酒造は風光明媚なかやぶき里としても有名な美山でお酒を醸しており、300余年続く蔵元。ミネラル分の多い弱酸性の軟水・美山川の源流水を仕込み水に使い、手間ひまかける昔ながら生酛(きもと)造りを得意としています。
京土愛とのコラボ酒も、大石酒造が得意とする生酛純米酒。辛口だけどコクのある濃醇な味わいは、冷(常温)良し、人肌燗(35℃)良しで、食前酒、食中酒としておすすめです。
京都のお酒を知ってもらうきっかけに
知られざるお酒やジャケ買いならぬ“パケ”買いしたくなるものをセレクトする「京土愛」。京都のお酒の懐の深さを知ってもらうには、京都タワーという立地は最高、だからこそ飲みやすい、食事に合わせやすいお酒にもこだわります。
オリジナル酒やまだ見ぬお酒、お土産に喜ばれるお酒はどんどん増えていく模様。次なる展開は、京土愛ラベルの第三弾です。
こちらは伏見にある酒蔵、山本本家とのコラボ酒。黒の京都タワーラベルは、さわやかな香りとまろやかな味わいが飲みやすい純米大吟醸。白の五重塔ラベルはオン・ザ・ロックがおすすめの辛口の生貯蔵原酒です。第三弾はどんなお酒が登場するのか、目が離せません。「何を買っていいかわからない、お酒がよくわからない、そんな人こそ、うちに立ち寄ってほしい」と金谷さん。新たなお酒との出会いを求める人はぜひチェックしてみてください。