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三嶋神社EC

鰻信仰の社・三嶋神社を訪ねる

馬町から少し東へ入った住宅街の片隅に、小さな神社があります。850年以上の歴史を持つ三嶋神社で、社殿こそ小さいものの、子授けや安産祈願で有名なお社です。

源平と縁の深い三嶋神社

三嶋神社の創建は永暦元年(1160年)。後白河天皇の中宮は、長く皇子に恵まれずにいましたが、摂津国の三嶋大明神を信仰したところ、後の高倉天皇となる皇子を懐妊、出産。これを喜んだ後白河天皇が、小松谷に邸宅を持つ平重盛に命じ、社殿を造営させました。その後、建礼門院が安産祈願をしたり、牛若丸が平家追討を祈願したりと、源平と縁の深い歴史を歩みました。

三嶋神社
マンションの裏にひっそり鎮座する三嶋神社。渋谷通ぞいに案内が出ており、それに従い細い路地を入った先にある。
三嶋神社 - 揺向石
社殿の横に揺向石が祀られる。牛若丸が参籠して平家追討を祈願したときに、夢に翁が出てきて奥州へ向かうように告げた。目覚めると、翁が立っていた場所にこの石があったという。妊婦が揺向石を撫で、その手でお腹を撫でると、健やかな男児が生まれると言われている。
子授け、安産、夫婦和合にご利益あり

三嶋神社には、土火水の三つの御神徳をもつ神様が祀られています。土は万物の母であり、火は万物の大気であり、水は万物の源であるということから、あらゆる生物の出生、生育、放生を守護。ここから子授けや安産祈願の信仰が生まれました。近年には社殿が廃され、瀧尾神社に遷座するという苦難の時期も。その後、再び旧社地に還幸遷座。昔も今も変わらず新たな命の誕生と成長を願う参拝者が訪れています。

三嶋神社 - 本殿
本殿には、奉納された釣灯籠が数多く下げられている。
三嶋神社 - 祈願所
東山区本町に鎮座する瀧尾神社の境内に、三嶋神社の祈願所がある。祈願所の脇には、本宮の鬼門から出土したという、子授け安産にご利益があるという陰陽石が祀られている。
三嶋神社の鰻信仰

三嶋神社を訪れると、目を引くのが鰻の描かれた絵馬。三嶋神社の神のお使いは、巳蛇(みずち)、すなわち水蛇。棟木のように丸く長いことから牟奈岐(むなぎ)と呼んだ鰻を、水蛇の代表として神使として祀っているそうです。祈願中は神使である鰻を食べてはいけないという、鰻断ちの信仰が今も守られています。また、鰻を扱う業者からも篤く信仰され、毎年10月26日に祈願所で鰻放生大祭が斎行されます。うなぎ神社とも呼ばれる三嶋神社に、一度参拝してみませんか。

三嶋神社 - 絵馬1
鰻の絵馬がずらりとかかる。子授け祈願時には2匹の鰻が描かれた絵馬を奉納し、成就したら安産を願って3匹の鰻が描かれた絵馬を奉納。この絵馬の柄は昔から変わっていないという。
三嶋神社 - 絵馬2
祈願所の絵馬所にも、鰻の絵馬がかけられている。絵馬の真ん中に描かれる社紋は、隅切三文字と呼ばれる。波打つ字体は、水を信仰する神社に独特の形だそう。

基本情報

  • 寺社名
    三嶋神社
    住所
    京都市東山区東大路通東入上馬町3丁目
    電話番号
    075-531-5012
  • 寺社名
    三嶋神社祈願所
    住所
    京都市東山区本町11丁目718番地(瀧尾神社内)

この記事を書いた人

にっしー
音楽と文学をこよなく愛する関西人。母なる琵琶湖のほとりで生まれ育ち、京都に移り住んで十数年。バス停で困っている修学旅行生に道案内をするのが趣味。