東山七条にある新日吉神宮は、皇室ゆかりの神社です。2019年5月12日(日)には「新日吉祭」が行われ、珍しい神仏習合の儀式や、にぎやかな神幸列が見られました。
後白河法皇によって創設された神社
1160年に後白河法皇が法住寺殿を造設し、鎮守社として近江の日吉山王(ひえさんのう)の七社を移したのが新日吉神宮の始まりと言われています。
戦乱などで移転を繰り返し、明治30年の豊国廟復興の際に現在の場所に移されました。造酒や医薬、縁結びの神様として厚い信仰を集めています。
春の一大行事の新日吉祭
神幸祭の新日吉祭は、約850年の歴史を持つ伝統行事。1162年に後白河天皇の子の二条天皇が、宮中の祭礼を再興した「小五月会(こさきのまつり)」が起源とされています。
巡行に先立って、拝殿前で出立祭が執り行われました。神職が祝詞を奏上する「馬場御供の儀」に続くのは、新日吉神宮と関連の深い妙法院門跡の僧侶が読経する「法楽の儀」。長く続いていた神仏習合時代の名残を感じさせていました。
新緑の街を練り歩く神幸列
儀式を終えると、いよいよ神幸列が出発。剣鉾を先頭に、獅子や鳳輦(ほうれん)(神輿)などが続きます。途中、厄を集めて祓うとされる剣鉾を差し上げると、綺麗な鈴の音が響き渡りました。
豊国神社前からはお稚児さんも合流。華やかな衣装をまとったお稚児さんは、沿道の人々に厄除け粽を配って歩きます。行列には大きな榊の木があり、枝を切って配る場面も。初夏らしい澄み渡った空の下、行列は4時間ほどかけて氏子地区を回っていました。