紅葉の美しい名刹、東福寺。約2,000本の青もみじが初夏の光と風にそよぐ様子はすがすがしく、心が洗われるようです。この時期は混雑もなく、静かにゆっくりと散策できました。
東福寺三名橋から紅葉の渓谷を望む
東福寺三名橋とは、紅葉の渓谷「洗玉澗(せんぎょくかん)」にかかる3つの橋のこと。簡素にして端正、禅僧のように凛とした美しい橋です。
悟りの世界へ至る門
南北朝の頃に建てられた三門は、禅宗の寺院としては最古かつ最大で、国宝に指定されています。空門・無相門・無作門の三境地を経て悟りの世界へ至る門「三解脱門」にちなんで「三門」と表記。楼上内部には宝冠釈迦如来などが安置され、明兆や弟子による極彩画が描かれています。
生活のすべてが修行
東福寺は、臨済宗東福寺派の大本山。鎌倉時代はじめの1236年、藤原道家が「奈良の東大寺や興福寺と並ぶ大寺院を京都に建立したい」と発願したことから「東福寺」と名付けられました。禅宗では生活のすべてが修行とされ、用便や入浴などにも細かい作法がありました。
東福寺には、現存する最古の東司(お手洗い)があります。多くの僧が一斉に用を足したことから「百雪隠(ひゃくせっちん)」とも呼ばれました。室町時代前期に建立され、明治維新の頃まで使われた東司は、重要文化財に指定されています。
東福寺には桜が1本もありません。東福寺の僧で水墨画の開祖とも呼ばれる明兆の「大涅槃図」が足利義持の目にとまって絵のほうびを尋ねられたとき、明兆は「修行の妨げになる」と桜の伐採を願ったと伝えられています。
「一時坐禅すれば 一時の仏なり
一日坐禅すれば 一日の仏なり
一生坐禅すれば 一生の仏なり」 (東福寺の開山 聖一国師のことば)