あじさい寺の通称で知られる福知山市の観音寺には、境内を包み込むように約100種、およそ1万本のあじさいが植えられています。花浄土と表現されるあじさい寺にお参りしてみましょう。
開創1300年の観音寺
あじさい寺の名で親しまれる丹州観音寺は、養老4年(720)に、この地を訪れたインドの帰化僧・法道仙人が霊木に十一面千手千眼観世音菩薩像を刻み、草堂に安置したのがはじまりと伝わります。平安時代に空也上人が七堂伽藍を建立。鎌倉時代には北条時頼、貞時ら歴代将軍の庇護を受け、25余の寺坊が軒を連ねる、丹波地方の観音信仰の中心地になりました。
四季折々の美しさを見せる花の寺
関西2府4県の「花の寺」と呼ばれる25か寺からなる、関西花の寺二十五カ所。丹州観音寺は、その第一番札所です。あじさい寺とよばれるようになった起こりは、戦後間もない頃に遡ります。観音菩薩の霊力で眼病が治った事に感謝したおばあさんが、山門近くにあじさいを数株植えました。そのあじさいがよく育ったので、約50年前の御本尊御開帳の折り、万灯万華をお供えしようと発願があり、万華の花としてあじさいを多種類植樹したそうです。
あじさいに包まれる境内を歩く
観音寺は、ロウバイや藤、桔梗やサルスベリ、紅葉など、どの季節に訪れても美しいお寺ですが、あじさいに包み込まれる6月が断然おすすめ。山肌に広がるあじさいのグラデーションが美しい参道や、あじさいに埋もれるような仁王門、あじさいが万灯の如く連なる遊歩道など、まさに花浄土の名がぴったりの幻想的な風景が広がります。