修験宗の総本山である聖護院の節分会では、山伏や歳男、福女に混じって鬼も一緒に豆をまきます。この一風変わった豆まきや採燈護摩が行われる節分会。鬼が豆をまく謎に迫ります。
仮御所にもなった門跡寺院
聖護院は修験僧の増誉僧正が、白河上皇の熊野御幸の先達を務めた功績から寛治4年(1090年)に寺を賜り、聖体護持から2文字取って聖護院と名付けたのが起こりです。後白河天皇の皇子である静恵法親王(じょうえほっしんのう)が宮門跡として入寺して以来、明治に入るまで皇族や摂家が門跡を務めてきました。江戸中期に御所が炎上した際には仮の皇居にもなった、皇室とゆかりの深い寺院です。
鬼は外と言わない追儺式
豆まきといえば、「鬼は外、福は内」と言いながら豆をまくのが一般的。しかし聖護院では、「福は内」しか言いません。その理由は、本尊の不動明王の力が強く、鬼は浄化されるため、外に追いやる必要がないからだそう。そのため、聖護院の節分会は、山伏が鬼を調伏し、改心した鬼が一緒に豆をまくという筋書きになっています。
採燈大護摩供で厄除開運祈願
13時からの豆まきの後、15時からは採燈大護摩供が行われました。山伏が弓や宝剣、斧で場を清め、ヒバの葉で覆われた護摩壇に点火。前日から当日にかけて参拝者が奉納した護摩木が炊かれ、厄除開運と福寿円満が祈願されました。節分の採燈大護摩の御札は厄除けや学業成就のご利益があるとされていて、厄除けのお守りとともに多くの人が買い求めていました。