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渉成園8

渉成園で春の訪れを感じよう

東本願寺の飛び地境内である渉成園は、四季を通して花や木々が美しい庭園。周囲に枳殻(カラタチ)が植えられていたことから、枳穀邸とも呼ばれています。春の渉成園を訪ねてみましょう。

お東さんの広大な庭園

渉成園は、東本願寺の飛び地境内で、広さ約1万600坪の広大な庭園です。寛永18年(1641)に徳川家光から土地の寄進を受け、石川丈山により作庭されたと伝わります。宣如上人が承応2年(1653)にこの土地を隠居地として、陶淵明(とうえんめい)の『帰去来辞』の一節から取って渉成園と名付けました。京都駅から徒歩10分という立地ながら、庭園内はとても静か。ゆったりと落ち着いた時間が過ごせる庭園として人気です。

渉成園1
間之町通に面した西門から入園する。
渉成園2
西門を入ってすぐ正面に見える高石垣。長い切石や石臼、瓦や礎石など、さまざまな素材を組み合わせている。

渉成園十三景

印月池(いんげつち)を中心にした広大な庭園には、茶室や書院群が建ち、四季折々に美しい植物が植えられています。文政10年(1827)に渉成園を訪れた頼山陽(らいさんよう)は、『渉成園記』で園内の建築や景物を十三景として紹介。その風雅なさまを讃えました。渉成園内の諸殿は安政5年(1858)年と元冶元年(1864)の2度にわたって焼失し、現在の建物は明治初期に復元されたものですが、十三景の美しさは今も変わらずに人々を魅了しています。

渉成園3
池に落ちる小滝(滴翠:てきすい)から名付けられたという滴翠軒。手前の臨池亭と回廊でつながっている。
渉成園4
個性的なデザインが目を引く傍花閣(ぼうかかく)。左右の側面に山廓と呼ばれる階段の入り口がある。
渉成園5
印月池にかかる侵雪橋。頼山陽が『渉成園記』で雪の積もった橋を玉龍にたとえた。

源融(みなもとのとおる)の六条河原院を偲ぶ

渉成園がある場所は、平安前期の左大臣・源融の邸宅である六条河原院の旧跡だという伝承があったことから、庭園のあちこちに、伝承に基づく景物が配置されています。近年は、渉成園は河原院の跡地ではないと考えられていますが、河原院の趣向を取り入れた庭園を眺めれば、源融が陸奥の塩釜の浦を模して造らせたという風雅な邸宅をイメージすることができそうです。

渉成園6
源融の供養塔と伝わる九重の石塔。源融は嵯峨天皇の皇子。源姓を賜って臣籍に下った人物で、光源氏のモデルの一人とされている。

見頃を迎えた双梅檐(そうばいえん)

渉成園十三景の十番目に数えられる双梅檐は、梅が20本ほど植えられた梅林。毎年2月から3月にかけて、紅梅と白梅が花を咲かせ、ふくよかな甘い香りを漂わせます。庭園を散策していると、ふいに漂ってくる馥郁(ふくいく)たる梅の香りに、春の訪れを感じるのも風流なもの。3月末頃からは傍花閣を囲むように桜が咲き、庭園内はまさに春爛漫の風情となります。渉成園の春を楽しみましょう。

渉成園7
双梅檐の梅。小ぶりな木が多いが、香り高い。
渉成園8
庭園の入り口手前の通路にも梅の並木がある。
渉成園9
梅の見頃が終わるとユキヤナギ、桜、カラタチと、次々に季節の花が咲き継いでいく。

基本情報

  • 寺社名
    渉成園
    住所
    京都市下京区下珠数屋町通間之町東入東玉水町
    電話番号
    075-371-9210(東本願寺本廟部参拝接待所)
    URL
    http://www.higashihonganji.or.jp/

この記事を書いた人

にっしー
音楽と文学をこよなく愛する関西人。母なる琵琶湖のほとりで生まれ育ち、京都に移り住んで十数年。バス停で困っている修学旅行生に道案内をするのが趣味。