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常寂光寺の盆梅展8

常寂光寺の盆梅展

小倉山中腹に境内が広がる常寂光寺で、盆梅展が開催されています。大小の鉢に植えられた梅から馥郁(ふくいく)たる香りが漂い、常寂光土に遊ぶような趣があるという古刹に春の訪れを告げています。

小倉山に伽藍を構える常寂光寺

常寂光寺は慶長年間(1596~1614)に、本圀寺の日禛(にっしん)上人によって開かれた、日蓮宗の寺院。常寂光土に遊ぶような趣があるということから、その名が付いたそうです。本堂は小早川秀秋の助力を得て伏見城の客殿を、仁王門は本圀寺客殿の南門を移築したものだと伝わっています。小倉山の中腹に境内が広がり、多宝塔付近からは京都市内が一望できます。

常寂光寺の盆梅展1
茅葺きが珍しい常寂光寺の仁王門。貞和年間(1345~1349)に建立された本圀寺の門を元和2年(1616)に移築したもので、仁王像は運慶作と伝わる。
常寂光寺の盆梅展2
高さ約12メートルの多宝塔。紅葉に包まれる秋が美しい。
常寂光寺の盆梅展3
常寂光寺は日蓮宗の寺院なので、御首題をいただける。御朱印には法華経の一節「宝樹多花果」と書かれている。宝の木に花や実がたくさんなるように、仏の教えが多くの知恵をもたらしてくれるという意味だそう。
商品名:「御首題」300円、「御朱印」300円

藤原定家ゆかりの地

藤原定家の山荘・時雨亭は、常寂光寺仁王門の北から二尊院の南にあったと考えられています(諸説あり)。仁王門の横には、定家の山荘があったことを示す石碑があります。小倉百人一首は、定家がこの山荘で優れた歌人の歌を百首選び、年代順に色紙にしたためたものです。多宝塔の近くには時雨亭跡の石碑や、定家の神像を祀る歌遷祠も建っています。

常寂光寺の盆梅展4
定家の山荘があったことを示す碑。書かれているのは、百人一首の貞信公の歌。
常寂光寺の盆梅展5
多宝塔近くの時雨亭跡の碑。この付近からの眺望が素晴らしい。
常寂光寺の盆梅展6
歌遷祠の扁額は、富岡鉄斎の筆。

可憐な盆梅を愛でる

常寂光寺で、例年2月下旬から3月下旬にかけて開催される盆梅展。寒中に参拝者に喜んでもらおうと始めた行事だそうで、山門から仁王門へ到る参道横の展示場に、大小約30鉢の盆梅が飾られています。大きな鉢の梅は高さ2mほどもあり、枝ぶりが優美です。たわわに咲いた小ぶりな盆梅も見事。馥郁たる香りを楽しみに訪れてみませんか。

常寂光寺の盆梅展7
白梅や紅梅など、大小さまざまな盆梅が楽しめる。
常寂光寺の盆梅展8
盆梅は例年3月上旬が見頃だそう。2019年は例年より早く満開を迎えた。
常寂光寺の盆梅展9
常寂光寺の山門前には生け花の展示も。冬枯れの時期に華やぎを添える盆梅展は例年3月下旬まで開催されているが、2019年は終了が早まる可能性もある。

基本情報

この記事を書いた人

にっしー
音楽と文学をこよなく愛する関西人。母なる琵琶湖のほとりで生まれ育ち、京都に移り住んで十数年。バス停で困っている修学旅行生に道案内をするのが趣味。