小倉山中腹に境内が広がる常寂光寺で、盆梅展が開催されています。大小の鉢に植えられた梅から馥郁(ふくいく)たる香りが漂い、常寂光土に遊ぶような趣があるという古刹に春の訪れを告げています。
小倉山に伽藍を構える常寂光寺
常寂光寺は慶長年間(1596~1614)に、本圀寺の日禛(にっしん)上人によって開かれた、日蓮宗の寺院。常寂光土に遊ぶような趣があるということから、その名が付いたそうです。本堂は小早川秀秋の助力を得て伏見城の客殿を、仁王門は本圀寺客殿の南門を移築したものだと伝わっています。小倉山の中腹に境内が広がり、多宝塔付近からは京都市内が一望できます。
藤原定家ゆかりの地
藤原定家の山荘・時雨亭は、常寂光寺仁王門の北から二尊院の南にあったと考えられています(諸説あり)。仁王門の横には、定家の山荘があったことを示す石碑があります。小倉百人一首は、定家がこの山荘で優れた歌人の歌を百首選び、年代順に色紙にしたためたものです。多宝塔の近くには時雨亭跡の石碑や、定家の神像を祀る歌遷祠も建っています。
可憐な盆梅を愛でる
常寂光寺で、例年2月下旬から3月下旬にかけて開催される盆梅展。寒中に参拝者に喜んでもらおうと始めた行事だそうで、山門から仁王門へ到る参道横の展示場に、大小約30鉢の盆梅が飾られています。大きな鉢の梅は高さ2mほどもあり、枝ぶりが優美です。たわわに咲いた小ぶりな盆梅も見事。馥郁たる香りを楽しみに訪れてみませんか。