地下鉄「北山駅」から徒歩15分ほどの、閑静な住宅街にある「京 上賀茂 御料理秋山」。連日予約で満席になる、京料理のお店です。春の食材をふんだんに使った、夜のコースを紹介します。
築80年ほどの古民家を改装して
カキツバタで有名な太田神社を東へ歩いていくと、「御料理秋山」と記された古民家があります。趣ある空間でいただく季節感と独創性を感じる料理が好評で、予約が取りづらいほどの人気。遠方から何度も訪れる人も多いようです。
秋山さんでは、その日の予約客が揃ってから一斉にコースがスタートします。まずは待合所の囲炉裏の間へ。お茶をいただきながら待っていると、順に席へと案内されました。
ユーモアたっぷりのご主人が生み出す、他にはない料理
店内はカウンター席が10席ほどで、目の前で調理される様子が見られます。料理は昼・夜ともコースのみ。今回は夜のコースで、春の味覚のタケノコがいただけるとあり期待に胸を膨らませていると、早速一品目が運ばれてきました。全員に料理が出されると、ご主人が時折笑いを誘いながら楽しく料理の説明をしてくれます。
一品目は、手前から冷製の若竹と炊いたワカメ、ハマグリに菜の花。タケノコの木の芽和えと、焼きネギのソースを絡めたホタルイカに、アイスプラント、ブロッコリー、金時人参、花びら型に切り抜いたウドを添えて。
二品目は、イカナゴ醤油で炊いた瀬戸内海産のニシ貝と芽キャベツ。魚醤ならではの香りと貝の歯ごたえが楽しめる。
三品目は、イイダコのすり身にタケノコが入ったさつま揚げの椀物。菊芋とこごみ、紅白の人参と大根に白菜の花で彩りよく。
四品目は、刺身の盛り合せ。鮮度抜群の明石鯛(桜鯛)、穴子、アイナメ(アブラメ)、ハリイカを、わさび醬油またはレモンと塩で。珍しいルッコラの花が添えられていた。
五品目は、藁で炙った鹿児島産の初ガツオを、のびるのソテーと一緒に。初ガツオらしいあっさりとした味わいが感じられる。
六品目は、黒米のお粥。コクがありほんのり甘いお粥の中には生麩と山芋が入っていて、それぞれの食感の違いが楽しめる斬新な料理。
七品目は、見た目にも華やかな三種の小鉢。手前はテナガダコとウドのごま油とからし和え、中央は干し柿とブラッドオレンジのピールにセリと大阪名物岩おこしを加えた白和え、奥は鮎の稚魚の氷魚とタケノコの姫皮にタラの芽などを合わせた一品。
八品目は、穴子の炙りと焼きタケノコ、ネギ坊主の塩焼き。中にもち米が隠れていて、タケノコと一緒に食べるとまるでタケノコごはんのように。
九品目は鴨出汁のにゅうめんに、鴨肉とスナップエンドウ、蕪の花を添えて。鴨の旨味がしっかりと溶け出した出汁は絶品。
十品目は、マスの出汁が効いた粕仕立てのお汁。白味噌を使った甘めの味付けで、土鍋で炊かれたごはんとの相性は抜群。
十一品目は、メキシコ産完熟マンゴーとせとか、日向夏と滋賀県産よつぼしイチゴ、梨のフルーツの盛り合せ。
食後は囲炉裏の間でご主人の点てたお抹茶を。3時間ほどかけて、コース料理を堪能することができた。