きゅうり封じは、空海が中国からもたらしたという病魔封じの秘法で、1200年ものあいだ受け継がれてきた伝統行事。土用の丑の日に行われた、五智山蓮華寺のきゅうり封じを紹介します。
五智如来の石像が並ぶ寺
仁和寺の東側に山門を構える蓮華寺は、天喜5年(1057)、藤原康基により後冷泉天皇の御願寺として建立されました。応仁の乱により音戸山に移されたのち荒廃しましたが、寛永18年(1641)に江戸の豪商・樋口兵太夫が再興。山頂に木食上人単称(たんしょう)が彫刻した五智如来像が安置されました。その後、火災で焼失し、昭和3年に現在地に再建。昭和33年には山上の五智如来像が境内に移され現在に至っています。
1200年の歴史を持つ夏の土用の年中行事
きゅうり封じは、夏土用の丑の日に行われる行事です。一切衆生が病気や苦しみから逃れて丈夫で長生きできるように、弘法大師が中国から伝えた秘法だと言われています。真言密教の三密加持「身」「口」「意」が大切とされ、体をさすり(身)、声に出して祈願し(口)、祈る(意)ことで、きゅうりに病魔を封じ込めるそうです。
護符の埋め込まれたきゅうりで祈願する
2019年のきゅうり封じは、7月27、28日に行われました。まず不動堂横の受付で、用紙に名前と数え年、祈願内容を記述。不動堂で加持を受け、護符を埋め込んだきゅうりをいただいたら、その後3日間、朝晩に真言を唱えながら体の悪いところをきゅうりでさすります。きゅうりは4日目の朝に、人の踏まない土に埋めるか川に流すかし、それができない場合はお寺へ返すそうです。両日は病魔退散や健康を祈願する参拝者でにぎわいました。