愛らしいキャラクターとして、世代を超えて親しまれている一休さん。その一休さんが晩年を過ごした寺が京田辺市にあります。紅葉が見頃を迎えた、「酬恩庵一休寺」を訪ねてみました。
一休禅師によって復興された寺
一休寺は、鎌倉時代に臨済宗の高僧であった大應国師によって創建された妙勝寺に始まります。その後、戦火で焼失し、長らく荒廃していたのを復興したのが、一休さんこと一休禅師。堂宇を再興し、恩師に酬(むく)いるという意味で「酬恩庵」と命名しました。一休禅師は63歳で復興してから88歳で亡くなるまでをこの寺で暮らし、今も境内で静かに眠っています。
総門をくぐると、色づいたイロハモミジが石畳に沿って並んでいます。本堂まで続く参道は、一休寺の中でも特に紅葉が美しい場所です。
個性豊かな三つの方丈庭園
参道を進み、庫裏を通って方丈へ。江戸時代に建てられたという方丈には、一休禅師の木像が安置されています。
方丈の北・東・南には、それぞれ庭園が見られます。まず見えてくるのは南庭。白砂と刈り込まれたサツキのコントラストが見事な禅苑庭園です。東庭には、十六羅漢に見立てられた大小さまざまな石が並びます。北庭は石組みで枯滝落水を表現した蓬莱庭園と、どれも違った魅力を感じられます。庭園をゆっくりと眺めて、秋の風情を感じてみましょう。
秋色に染まる境内を散策
方丈の西には、本堂や開山堂があります。本堂は室町幕府6代将軍・足利義教の帰依により建立されたもの。本尊の釈迦如来坐像と文殊普賢菩薩像が祀られています。開山堂は、一休禅師が復興した当時の様式を残す建物。その近くでは、一休少年と一休和尚の二つの像が見られました。
宝物殿では、2018年12月2日(日)まで特別企画展の「祖師と肖像」が開催されています。禅僧の肖像画である頂相(ちんぞう)や一休禅師の愛用品など、見どころが盛りだくさんです。
一休さんゆかりの寺で、秋のひと時を過ごしてみませんか?