苔寺や鈴虫寺、地蔵院などの有名寺院が建つ洛西に、参道を覆う紅葉が見事な寺院・浄住寺があります。散り敷いた紅葉が石段を赤く染め、晩秋のしみじみとした風情が漂う浄住寺を訪れてみませんか。
紅葉の穴場スポット
竹の寺と呼ばれる地蔵院の程近くに伽藍を構える浄住寺。弘仁元年(810)、嵯峨天皇の勅願により、慈覚大師円仁が天台宗の寺院「常住寺」として開創したと伝わります。参道の石段を覆いつくす紅葉が見事で、穴場スポットとして注目されつつある寺院です。2019年は11月23日(土)から12月8日(日)まで秋の特別公開が行われています。
黄檗宗の寺院建築を見る
天台寺院として創建した常住寺ですが、弘長年間(1261~1264)に葉室定嗣(はむろさだつぐ)が再建して以降は、浄住寺と名を改め、真言律宗の寺院として栄えました。南北朝時代以降はたびたび戦火に遭い荒廃しましたが、元禄2年(1689)に黄檗宗の僧・鉄牛禅師により再興され、黄檗宗の寺院となって現在に至っています。本堂と位牌堂、開山堂、寿塔などの、黄檗宗寺院ならではの中国風建築の諸堂が階段状に一列に並んでいるのが特徴的です。
自然豊かな境内を歩く
山裾に伽藍が広がる浄住寺は、江戸時代に再建された諸堂と、石段や土塀、樹木などが一体となって優れた景観を示しているとして、京都市の文化財環境保全地区に指定されています。参道の横には竹林があり、亀の甲羅のように見える亀甲竹や、切り口が四角形の四方竹などの珍しい竹が植えられているので探してみましょう。諸堂の東側には苔むした庭があり、散り敷く紅葉が彩りを添えています。