西京区大原野の山裾に、拝観できる寺院の中では京都で一番小さいと言われる宝菩提院願徳寺(ほうぼだいいんがんとくじ)があります。凛とした表情の観音様を拝みに訪れてみましょう。
持統天皇創建の歴史ある寺院
宝菩提院願徳寺は、白鳳8年(679)に持統天皇の勅願で創建。徳のある願いによる寺であることから「願徳寺」と名付けられ、現在の向日市寺戸に東西1300m、南北800mもの大伽藍が建立されました。その後、平教盛の子・小川法印忠快が、東山三条にあった宝菩提院を願徳寺に移転。天台宗の大寺院として栄えたものの、応仁の乱で焼失し、かつての面影は失われました。
国宝の美仏に参拝する
本堂には、凛とした表情が印象的な本尊・如意輪観世音菩薩半跏像を中心に、薬師瑠璃光如来や聖徳太子二歳像などを安置されています。榧(かや)の一木造りの如意輪観音は平安前期の作で、国宝指定。顔の相や衣の表現は唐の様式で、渡来仏もしくは渡来人の作であると考えられています。心願成就や子宝授与のご利益があるとされる、美しい如意輪観音にお参りしましょう。
京都で一番小さな拝観寺院
宝菩提院願徳寺の境内はとても狭く、仏像の拝観のみで庭園はないという旨の案内が貼られているほど。京都で一番小さな拝観寺院という呼び名は、このこぢんまりした境内を指しています。知る人ぞ知るお寺なので訪れる人も少なく、秋の紅葉も独り占め。心静かに堪能できます。庫裏の前には小さな庭もあり、庭越しの眺望も素晴らしいお寺です。