地域によって「どんど」「とんど」など様々な呼び名のある左義長は、小正月に行われる火祭りの行事。後白河法皇により創建された新熊野神社で、宮中の正月行事に由来する左義長神事が行われました。
後白河法皇創建の古社
新熊野神社の創建は永暦元年(1160)。後白河法皇が平清盛親子に命じて法住寺殿を造営した折に、その鎮守社として創建されました。当時は熊野信仰が盛んでしたが、熊野への参詣は簡単ではないことから、新熊野神社が京都の別宮として勧請され、長く京都の熊野信仰の中心地となったそうです。
宮中行事に基づく左義長神事
左義長の起源は、平安時代から行われていた小正月の宮中行事と言われています。清涼殿の東庭に立てた青竹に、ホッケーのような遊びで使う毬杖(ぎっちょう)3本を結び、扇子や短冊を飾ったものを、陰陽師が焼いて吉凶を占った「三毬杖(さぎちょう)」に由来するそうです。新熊野神社の左義長神事では、神主が神事の合間に由来や祝詞の意味、作法などを解説してくれるので、祭典の流れが分かりやすく、勉強になります。
左義長の燃え方で吉凶を占う
宮中行事に基づいて行われる新熊野神社の左義長神事では、左義長の燃え方でその年の吉凶を占います。焚き上げた炎と煙が高く上がり、左義長が恵方に倒れると吉なのだそう。2020年の左義長神事では、点火してすぐに勢いよく燃え上がり、炎が高く上がりました。盛大な音を立てて燃え盛る左義長の煙を浴び、参拝者は一年間の幸福を祈りました。