いけばな発祥の地である六角堂。にぎやかな街の中にあって、オアシスのような存在でもあります。六角堂のすぐ近くにある六角蕪村菴の又平餅は、おみやげにおすすめです。
六角堂から花開いたいけばな
六角堂の正式名は「紫雲山頂法寺」。本堂が「六角宝形造」であることから「六角堂」の名で親しまれ、六角通りの名の由来にもなっています。
六角堂は587年に聖徳太子によって創建されたと伝わる寺で、平安時代以前から庶民の信仰を集めていました。
北面には聖徳太子が沐浴をしたと伝わる池の跡があります。この池のほとりに小野妹子を先祖に持つという僧侶の住坊があり、「池坊」と呼ばれていました。池坊の僧侶が本尊に毎日、朝夕欠かさず花を供えていたところ、いけばなの名手として知られるようになり、代々いけばなが広がっていったのです。そして「池坊」という呼び名が華道家元の名前になりました。
ほどよいこぢんまり感が心地よい
門をくぐると、六角堂の全体をほぼ見わたすことができます。右手には手水場があり、その後ろを見れば、白雪姫の小人達を思わせる十六羅漢像が立っています。
「羅漢」とは仏の教えを人々に伝えることができる僧。六角堂の羅漢像は、2007年〜2008年に池坊専永住職によって安置されたもので、そのにっこりとしたおだやかな表情に癒されます。池坊専永住職も、この表情に惚れ込んだのだそう。タイ・チェンマイを訪れた際に、現地の職人が作ったこれらの像に出会ったとされています。
また、六角堂の左手(西側)に建つビルの1階にはスターバックスコーヒーがあり、窓際の席に座れば、コーヒーを飲みながら六角堂の風景を楽しむことができます。この日はあいにくの雨でしたが、晴れの日とは違う緑も、しっとりとして味わい深いものです。
“もっちり”が人気の、六角蕪村菴『浮世 又平餅』
六角蕪村菴は、六角堂を背にして六角通りを左(東)に向かって少し歩いたところにあります。その名の通り、与謝蕪村をコンセプトとしたお店です。
『浮世 又平餅』は、歌舞伎・人形浄瑠璃の演目『吃又』の登場人物である又平・お徳の夫婦愛にちなんで創作された焼き餅。お店独自だというもっちりとしたやわらかな皮の中には、あんがたっぷり入っています。小倉あんと白あんの2種類があり、どちらも上品な甘さです。