今年は琳派誕生400年の記念すべき年。各地で興味深い琳派の展示が行われてきました。トリを飾るのが、いま京都国立博物館・平成知新館で開催中の特別展『琳派 京を彩る』です。
琳派の誕生の地は洛北・鷹峯の光悦村だった
そもそも「琳派」とは何か。ぼんやりと理解している人も多いかもしれません。琳派とは日本美術史の中で発展した独特の芸術様式のこと。源流は書家として活躍した本阿弥光悦です。「派」とあるように、光悦一人を指すのではなく、同時代を生きた俵屋宗達、尾形光琳、光琳の弟・乾山、酒井抱一が琳派とされています。
光悦は刀の鑑定や研磨を行う家の生まれ。徳川家康から拝領した洛北の鷹峯(たかがみね)の地に親類縁者を集めて芸術家村をつくり、作陶や蒔絵を手がけていました。この光悦村が開かれて、今年が400年の節目の年なのです。
「風神雷神図屏風」が一堂に会するとびきりの贅沢
琳派の代表作といえば宗達が描いた国宝「風神雷神図屏風」。祇園の建仁寺に展示されているのは通常複製画ですが、目にすることの多い有名な作品でしょう。この「風神雷神図屏風」を光琳、抱一がそれぞれ模写しており、今回の展示で京都では75年ぶりに一堂に会します。琳派は直接の師弟関係を持たないので、模写することが継承の形なのだそう。光悦、光琳、抱一の生年を比べると約100年ずつの開きがあるといいます。
宗達の「風神雷神図屏風」は全期間展示されますが、光琳の作品は11月8日まで、抱一の作品は10月27日~11月23日に展示されます。そう、3作品が一堂に見られるのは10月27日~11月8日のみ。色彩、構図、表情など少しずつ異なるので、じっくりと見比べられるこの期間に訪れるのがおすすめです。
最強のコラボアニメーションは13メートル超の画巻
今回の見どころのひとつが「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」。金銀泥のシルエットで描かれた鶴の群れが飛び立ち、海を越え、岸に降り立つまで、まるでアニメーションのように表現されています。この上に藤原公任『三十六人撰』に基づく和歌が流れるように書かれているのですが、この書を光悦、画を宗達が描いており、まさに琳派最強のコラボレーション作品といえます。13メートルを超える大作が全場面展示されており、色数こそ少ないですが、この迫力たるや! 上下に動くダイナミックな躍動感を味わってください。
展覧会グッズもお忘れなく
ミュージアムショップには今回の展覧会限定グッズも充実しています。私は尾形光琳「風神雷神図屏風」のマスキングテープ、本阿弥光悦書・俵屋宗達画「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」のクリアファイル、京都国立博物館公式キャラクター「トラりん」のあぶらとり紙を購入。図録は3500円ですが見ごたえたっぷり、装幀も箔押しなのでおすすめですよ。
光琳の硯箱、乾山の蓋物などなど、まだまだ見どころやおすすめ作品を紹介したいのですが、続きはぜひ京都国立博物館で本物とご対面を。行楽シーズンを迎えた京都。多少の待ち時間は覚悟のうえ、時間にゆとりを持ってお越しくださいね。
琳派誕生400年記念 特別展覧会『琳派 京を彩る』 | |
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期間 | 10月10日(土)~11月23日(日) 会期中展示替えあり 前期:2015年10月10日(土)~11月1日(日) 後期:2015年11月3日(火)~11月23日(月) ※月曜日休、但し11月23日は開館 |
時間 | 9:30~18:00(金曜日は~20:00)※入館は閉館30分前まで |
会場 | 京都国立博物館 平成知新館(京都市東山区茶屋町527) |
料金 | 一般 1500円・大学生 1200円・高校生 900円※中学生以下は無料(要証明) |
電話 | 075-525-2473(テレホンサービス) |
URL | http://rinpa.exhn.jp/ |