昔の学生街には数え切れないほどあったと言われる「名曲喫茶」は、時代の移り変わりとともに姿を消してしまいましたが、実はまだ、当時のままで営業している店舗があります。出町柳駅すぐの「柳月堂」で、古き良き時代を想像しながら音楽に身をゆだねてください。

「名曲喫茶」がオープンしたのは1953年。1階にある「ベーカリー 柳月堂」の店内で、クラシック好きの店主が音楽を流し始めたのがきっかけでした。コーヒー一杯でも長居できる雰囲気が学生や教員からの人気を集め、一番賑わっていた頃には“立ち見客”まで出ていたといいます。

店内は「談話室」と「リスニングルーム」に分かれています。リスニングルーム内は静粛がルール。会話だけではなく、パソコンの使用や上着の着脱も禁止されています。徹底した決まりがあることで、レコード演奏が集中して楽しめるようになっているのです。

談話室に荷物を預けたら、いざ入室。壁際にズラリと並んだレコードは、開業から徐々にその数を増やし、いまや1万枚に達するそうです。聴きたいレコードがあればリクエストも可能。目を閉じて迫力ある演奏に聴き入っていると、ここが現代だということを忘れてしまいます。


談話室のほうではもちろん、自由におしゃべりを楽しむことができます。1階のベーカリーで購入したパンを持ち込むこともできるので、軽いランチにもぴったりです。レトロ感たっぷりのインテリアは開業当時のまま。音楽好きなら一度は訪れたい「柳月堂」で、昭和にタイムスリップしたかのようなひとときを過ごしてください。

