春の嵐山では、美しく着飾った十三まいりの子供によく出会います。虚空蔵菩薩から授かった知恵を返さないように、橋を渡る子供の表情は真剣そのもの。昔から変わらない春の風物詩です。
いにしえの成人式、十三まいり
旧暦3月13日(現在では4月13日)に数え年13歳の男女が、正装して虚空蔵菩薩に参詣する十三まいり。厄難を払い、知恵や福徳を授かるもので、古くは成人の儀礼として行われていました。京都では今もこの風習が大切に守られ、受け継がれています。
嵯峨の虚空蔵さんとして親しまれる法輪寺
嵯峨の虚空蔵さんと呼ばれる虚空蔵法輪寺は、和銅6年(713)に行基が木上山葛井寺を創建したのが始まり。貞観16年(829)に寺号が法輪寺と改められ、その後は応仁の乱や幕末の動乱で伽藍が失われましたが、そのたびに再建され現在に至っています。
渡月橋を渡るまで後ろを振り返ってはいけない
十三まいりは、大人の入り口に立つ通過点。「渡月橋を渡り終えるまでに振り返ると、授かった知恵を返してしまう」という古くからの言い伝えは、大人として約束事を守る大切さを説いていると言われています。約束を守るために緊張の面持ちで橋を渡る姿はほほえましいものです。