7月31日は、愛宕神社の千日詣り。31日夜から1日早朝までの間にお参りすれば、千日分のご利益があると言われています。この愛宕神社がまつられる愛宕山はどんな山なのでしょうか。
東の比叡山、西の愛宕山
京都の東から西へ連なる山並みをぐるりと見渡せば、東に比叡山、西に愛宕山がそびえています。「高さ比べをして比叡山と愛宕山が大喧嘩。比叡山が愛宕山をぽかりとぶったので、こぶができた分、愛宕山が高くなった」という昔話がある、京都の人々に親しまれている山です。
京都の台所に欠かせない「火廼要慎」のお札
昔からのしきたりを守る京都の家の台所には、「火廼要慎」と書かれたお札が貼られています。愛宕神社は火伏の神様。3歳までに登ると、一生火難に遭わないという言い伝えがあり、千日詣りでは小さな子を背負って登る親の姿が。伝統を重んじる京都人の心を感じる光景です。
1300年を超す歴史を持つ信仰の山
飛鳥時代末、修験道の祖・役行者が加賀白山の開祖・泰澄と共に神廟を建立。その後、和気清麻呂が白雲寺を建立し、愛宕大権現として国家鎮護の道場としました。明治の神仏分離令で白雲寺は廃され、愛宕神社として存続。愛宕山は今も変わらず霊山として崇められ続けています。
落語にも登場する愛宕参詣
落語の演目に、その名もずばり「愛宕山」というものがあります。京都の旦那と大阪の幇間(ほうかん)がピクニックがてら愛宕山に参詣する話で、かわらけ投げに興ずる様子が生き生きと描かれています。今は茶屋もなくかわらけ投げも行われていませんが、その跡地には案内板が建てられています。
見所いっぱいの参道を歩く
愛宕神社の参道は、清滝の二の鳥居から約4キロの山道。参道沿いには距離を示す丁石が立っています。茶屋の跡や壺割り坂、火燧権現跡(ひうちごんげんあと)、大杉大神のお社など、見所もたくさん。ハイキングコースとしても人気ですが、遭難者も出ることがある山。登山に適した服装で、無理のない計画を立てて登りましょう。