京都の北西に位置する愛宕山。その頂上には、火伏の神様を祀る愛宕神社があります。毎年7月31日の夜から8月1日の早朝にかけて「千日通夜祭」が行われ、ご利益を求めて多くの人が訪れています。
数万人もの人が訪れる千日通夜祭
「愛宕さん」の愛称で親しまれている愛宕神社は、全国約900社ある愛宕神社の総本宮。火伏や防火の信仰を集め、3歳までにお詣りすると一生火の災難に合わないという「3歳詣り」でも知られています。
千日通夜祭は千日詣りとも呼ばれ、毎年数万人もの人が訪れる一大行事。清滝の二の鳥居から本殿までの約4㎞の表参道は夜通し照らされ、参拝者らは「おのぼりやす」「おくだりやす」と声を掛け合いながら進みます。
標高約900mの愛宕神社へ
休憩所や水尾へと続く「水尾分かれ」を過ぎると、愛宕神社の入口となる黒門が見えてきます。境内では、登り終えた参拝者らがあちこちで休憩をとります。標高約900mの頂上付近にあり、真夏でも夜は肌寒く感じます。
本殿へは、急な石段を上ります。まず本殿をお詣りし、その先の若宮社と奥宮社にも足を運んでみましょう。「火迺要慎(ひのようじん)」のお札などは、本殿向かいの社務所で授与してもらえます。
優美な舞が奉納される「朝御鐉祭」
千日詣りでは、二つの神事が執り行われます。一つは31日午後9時からの「夕御鐉(ゆうみけ)祭」。もう一つは1日午前2時からの「朝御鐉(あさみけ)祭」です。
朝御鐉祭では、神鐉を供えて「人長の舞」が奉納されます。人長とは、神楽を舞う舞人の長のこと。神職から人長に榊が手渡されると、厳かな雰囲気の中ゆっくりと舞い始めます。舞の最中には火が焚かれ、舞が終わると水をかけて葉と石を置き鎮火する「鎮火神事」が行われます。
年に一度の千日分のご利益を授かりに、愛宕神社を訪れてみませんか。