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伊藤若冲EC

生誕300年 伊藤若冲ゆかりの地を訪ねる

江戸中期の画家・伊藤若冲の生誕から300年。京都では若冲に関する様々なイベントが開催され、記念の年を盛り上げています。ゆかりの地をめぐり、若冲の生涯に触れてみましょう。

若冲の人生は錦市場から始まった

伊藤若冲は1716年、錦市場の青物問屋「桝源」の長男として誕生。家督を弟に譲って以降は絵画三昧の生活だったというのが定説でした。しかし、近年に新資料の発見で、隠居後も錦市場の営業存続を求めて東奔西走したという、実務家の一面があったことが明らかになりました。

伊藤若冲 - 錦市場1
若冲の生家は錦小路高倉にあったとされ、モニュメントが建っている。彼の作品に野菜をモチーフにしたものが多く見られるのは、この生い立ちに由来すると言われている。
伊藤若冲 - 錦市場2
錦市場のアーケードには若冲の作品をモチーフにしたタペストリーが掲げられ、生誕300年を盛り上げている。
禅との出会い

若冲は30代の時、相国寺の大典禅師と出会います。大典禅師は彼の人柄を愛するとともに才能を見抜き、「若冲」の号を授けました。若冲は相国寺に「動植綵絵」24幅、「釈迦三尊画像」を、金閣寺に「大書院障壁画」をそれぞれ寄進。禅との出会いは若冲の人生に大きな影響を与えました。

伊藤若冲 - 相国寺1
臨済宗相国寺派の大本山、相国寺。境内の承天閣美術館では、2016年12月4日まで伊藤若冲展を開催中。
伊藤若冲 - 相国寺2
相国寺には若冲が生前に建てた墓がある。
若冲ゆかりの寺を訪ねる

若冲は、その生涯のほとんどを京都で過ごしました。妻帯せず芸事や酒も嗜まずに画業にいそしんだ若冲は、狩野派や琳派、中国絵画を研究し、独自の画風を創出。写実的、装飾的な動植物の絵画など、優れた作品を残しました。京都市内の若冲ゆかりの寺院には、彼の作品が伝わっています。

伊藤若冲 - 宝蔵寺
浄土宗の宝蔵寺は伊藤家の菩提寺。若冲が建てた父母の墓がある。同寺が所蔵する髑髏図をモチーフにした2016年限定の御朱印は要チェック。
伊藤若冲 - 閑臥庵
黄檗宗の閑臥庵は、若冲が十二支を描いた版木を所蔵。本堂でその年の干支の版木を展示している。
伊藤若冲 - 壬生寺
壬生寺には若冲が奉納した面があり、現在も狂言で使用されている。
若冲が晩年を過ごした伏見

天明の大火で家を焼け出された若冲は、大阪に移り住みます。晩年は伏見に居を移し、米1斗と画1幅を交換する日々を送り、斗米翁と称しました。多くの絵を描いた傍らで、石峰寺の裏山に釈迦如来の一生を表現した五百羅漢像を作成。苔むした石仏が、今も参拝者に優しく微笑みかけています。

伊藤若冲 - 墓
若冲は晩年を石峰寺の門前に結んだ庵で過ごした。境内には若冲の墓もある。
伊藤若冲 - 海宝寺
海宝寺の方丈には、「若冲筆投げの間」と呼ばれる部屋がある。襖絵「群鶏図」を完成させた若冲は、その後筆を取ることはなかったという。

基本情報

  • 施設名
    錦市場
    住所
    電話番号
    -
    URL
    http://www.kyoto-nishiki.or.jp/
  • 寺社名
    相国寺
    住所
    京都市上京区烏丸通今出川東入
    電話番号
    075-231-0301
    URL
    http://www.shokoku-ji.jp/
  • 施設名
    承天閣美術館
    住所
    京都市上京区烏丸通今出川東入
    電話番号
    075-241-0423
  • 寺社名
    宝蔵寺
    住所
    京都市中京区裏寺町通蛸薬師上ル裏寺町587
    電話番号
    075-221-2076
    URL
    http://www.houzou-ji.jp/
  • 寺社名
    閑臥庵
    住所
    京都市北区烏丸通鞍馬口東入278
    電話番号
    075-256-2480
    URL
    http://www.kangaan.jp/
  • 寺社名
    壬生寺
    住所
    京都市中京区壬生梛ノ宮町31
    電話番号
    075-841-3381
    URL
    http://www.mibudera.com/
  • 寺社名
    石峰寺
    住所
    京都市伏見区深草石峰寺山町26
    電話番号
    075-641-0792
    URL
    http://www.sekihoji.com/
  • 寺社名
    海宝寺
    住所
    京都市伏見区桃山町正宗
    電話番号
    075-611-1672

この記事を書いた人

にっしー
音楽と文学をこよなく愛する関西人。母なる琵琶湖のほとりで生まれ育ち、京都に移り住んで十数年。バス停で困っている修学旅行生に道案内をするのが趣味。