藤原定家が百人の歌人の名歌を集め、屏風に仕立てたのが、一般的に知られる百人一首の始まり。百人一首が生まれた嵯峨嵐山一帯には、歌を刻んだ石が置かれています。歌碑をめぐり、嵯峨嵐山をそぞろ歩いてみましょう。
亀山公園-古今集・拾遺集・後拾遺集-
天皇や上皇の指示で編まれた歌集を勅撰和歌集と呼び、古今和歌集が最初の勅撰和歌集。百人一首の歌は、古今和歌集から続後撰和歌集までの勅撰集に収録されています。亀山公園には、古今和歌集と拾遺集、後拾遺集から集められた計49首の歌碑があります。優美で華やかな初期の勅撰集を味わいましょう。
奥野々宮-後撰集-、野々宮-新勅撰集-
野宮神社のそば、竹林に囲まれたエリアに、二番目の勅撰集である後撰集7首の歌碑が建ちます。また、竹林の小径沿いには、新勅撰集4首の歌碑。さらさらと鳴る竹の葉擦れに包まれ、心静かに歌を味わいましょう。頬を撫でるかすかな風でさえ、雅に思えてくるのが不思議です。
長神の杜-詞花集、新古今集-
常寂光寺と二尊院の間に、長神の杜と名付けられた公園があります。ひっそりとして目立たないため観光客は通り過ぎてしまいますが、実は四季折々の自然が美しい穴場スポット。この公園の風景に溶け込むように、詞花集と新古今集の計19首の歌碑が配されています。
嵐山東-金葉集、千載集、続後撰集
中之島公園よりさらに下流にある、運動場も備えた嵐山東公園には、金葉集と千載集、続後撰集の歌碑が。訪れる人が少なく静かで、桂川のせせらぎを聞きながらくつろげます。この公園へ至る道は八幡や木津までつながるサイクリングロードでもあり、桜並木も楽しめる穴場スポット。舞い散る桜を眺めて、王朝歌人の気分で散策してみませんか。