十二坊の別名を持つ上品蓮台寺(じょうぼんれんだいじ)は、知る人ぞ知る桜名所。境内をソメイヨシノやしだれ桜が彩り、花の時期限定の賑わいを見せます。花に彩られ薄紅色に染まる古刹を訪ねてみましょう。
十二坊の名を持つ古刹
上品蓮台寺は、聖徳太子が創建し、当初は香隆寺(こうりゅうじ)と称したと伝わる真言宗のお寺。天徳4年(960)に宇多法皇の勅願で再建され、寺号を上品蓮台寺に改めたといいます。再建時には広大な寺域に伽藍が建ち並んでいたそうですが、応仁の乱でことごとく焼失。文禄年間に再興された頃は十二の塔頭を擁したことから、十二坊の名で親しまれています。
桜の花が舞う境内
境内では、ソメイヨシノやしだれ桜が美を競うように花を咲かせています。古刹が薄紅色に染まる様子は、日本人の感性に響くものを持つのでしょう。非公開寺院なので普段はひっそりしていますが、桜の時期は花を愛でる人々で賑わいを見せます。
源頼光の伝説も伝わる
境内北側の墓地の奥、大木の根元に立つ「源頼光朝臣塚」と記された石碑。この石碑には、妖怪・土蜘蛛に関する伝説が遺されています。平安中期の武将・源頼光が熱病で伏せっていたとき、法師に化けた土蜘蛛が襲ってきました。頼光に斬られた土蜘蛛の逃げた跡を追うと、大きな塚にたどり着き、塚の中にいた土蜘蛛を退治することができたそうです。上品蓮台寺にあるこの塚が、土蜘蛛がいた塚の跡だと伝えられています。