風薫る5月の京都では、さまざまな祭礼が各地で行われます。かつて「北の今宮、南の祇園」と称されたという、今宮祭。きらびやかな剣鉾(けんほこ)や神輿が巡行する祭礼は一見の価値ありです。
御霊会にルーツを持つ今宮祭
今宮祭は、平安時代の「紫野御霊会」が起源。中世に一時衰退した時期があったものの、徳川綱吉の母・桂昌院により復興され、今日まで西陣の祭として盛大に執り行われ続けています。5月5日の神幸祭では、神社を出た剣鉾や神輿が、西陣の氏子区域を巡行。愛らしい八乙女の舞や、京都最大級とも言われる神輿の拝殿降ろしや御旅所入御など、見所満載です。
飛び散る湯しぶきに無病息災を祈る
神幸祭の翌日、6日の14時から御旅所で行われる湯立祭。祝詞の奏上や神楽舞、釜で沸かした湯の中に塩や酒を入れる神事などが粛々と執り行われます。祭のクライマックスで神楽女が熱い湯の中に入れた笹束を引き上げながらダイナミックに湯を振りまくと、観衆から大きな歓声が上がります。
華やかな祭列が祭を盛り上げる還幸祭
15日に近い日曜日には、御旅所に祀られた神輿が還御する還幸祭が行われます。神幸祭の祭列に子供神輿や玉の輿も加わり、賑やかに西陣地域を巡行。古くは官祭として斎行され、時を経て町衆の手で守り続けられる今宮祭。消滅の危機を乗り越えて受け継がれる伝統に触れながら、無病息災を祈ってみませんか。