「京都夏の旅」は、様々な文化財が特別に公開される、夏の恒例行事。42回目の2017年は「近代の名建築」や「眺望」、「庭園の美」などをテーマに、7カ所が公開されています。その一つである、京都大学・花山天文台を紹介します。
日本で2番目に古い歴史を持つ天文台
花山天文台は、1929年に設立された京都大学の天文学研究施設。当時は東京天文台(現・国立天文台)と並ぶ国内有数の施設で、最新鋭の装置を用いて様々な研究が行われていました。しかし観測環境の悪化から1958年に飛騨天文台が設立され、観測の主力はそちらへ移されます。現在は学生や教育関係者の研究・教育施設として利用されたり、一般向け天文講話が行われたりしています。
花山天文台は、山科区の花山山の山頂に。地下鉄東西線・東山駅前からは無料のシャトルバスが運行され、10分ほどでアクセスすることができます。
銀色に輝くドームが特徴の本館
花山天文台には、望遠鏡が設置されている本館と別館、いろいろな展示がされている歴史館、太陽を観測するための太陽館、観測データの解析等を行う新館があります。今回公開されているのは、本館と歴史館。受付を済ませ、まず本館から見学します。らせん状の階段を登ると、ドーム型の天井と大きな望遠鏡が姿を現しました。
本館には口径45㎝の屈折望遠鏡が設置されています。観測時には天井が開閉され、天体に合わせて天井を360度回転させることも。天体の追尾は、現在では珍しい重力時計によって行われています。ドームからは、山科の街並みが見渡せました。
設立当時の面影を残す歴史館
本館前の広場に面して、歴史館があります。歴史館は設立当時、子午儀を用いて正確な時刻を計る子午線館として使われていました。次第に使われなくなり解体の危機に陥りましたが、大正から昭和にかけての貴重な洋式木造建築であることから、修復保存され歴史館に。館内には子午儀や精密時計、分光写真儀などが展示されています。
歴史館の隣には、口径18㎝の屈折望遠鏡が設置された別館があります。現在も観測を行っているため、運が良ければ天井が開閉し中の望遠鏡が見えるかもしれません。貴重な設備や資料が残る花山天文台は、9月30日(土)まで特別公開されています。