山科駅から三条通を西へ進むと、緑に覆われた小高い丘が見えてきます。これは、天智天皇の御陵(ごりょう)。陵墓の裏手は疎水が流れ、絶好の散策路になっています。天皇陵と疎水をそぞろ歩くコースはいかがですか。
緑豊かな天智天皇 山科陵(てんぢてんのう やましなのみささぎ)
大化の改新を行った中大兄皇子、後の天智天皇は数々の業績を残しました。その一つとして、日本で初めて漏刻(水時計)を用い、鐘で時を知らせたことが知られています。
京都市山科区御陵(やましなくみささぎ)の地名の由来である天智天皇 山科陵。天皇の遺志で山科に築かれたとされる御陵にお参りしてみましょう。
ゆったり流れる山科疎水を散策
天智天皇 山科陵の北側を流れる琵琶湖疎水は、京都の近代化を語るうえで欠かせない存在。第一疎水の四ノ宮~日ノ岡間は山科疎水とも呼び親しまれ、約4㎞にわたり東山自然緑地として遊歩道が整備されています。春の桜や菜の花、夏の緑、秋の紅葉も素晴らしく、ゆるやかな疎水の流れに心が癒されます。
疎水のトンネルに掲げられた洞門扁額を鑑賞しよう
琵琶湖疎水のトンネルの出入口には、扁額が掲げられています。この扁額の揮毫者は、疎水建設に従事した技師の田邉朔郎や当時の府知事であった北垣国道のほか、伊藤博文や山縣有朋、井上馨、久邇宮邦彦、松方正義、三条実美など錚々たる顔ぶれ。漢詩の引用や、疎水を讃える文が刻まれています。様々な苦難を経て完成した琵琶湖疎水に寄せた想いが感じられますね。