凛とした立ち姿が美しい北山杉。北山杉の里は、中川・杉阪・小野・真弓・大森の5つの地域からなっています。その一つ、中川で北山杉の歴史に触れるまち歩きを楽しみませんか。
『古都』の舞台にもなった北山杉の里
京都駅からバスで約1時間の山中にある北区中川は、川端康成の小説『古都』の舞台にもなった北山杉の里。清滝川沿いに倉庫が建ち並び、美しい木肌の磨き丸太を至る所で見ることができます。山々に囲まれた地に昔ながらの山村の風景が広がり、京都の町中とはひと味違う風情が漂います。
台杉を訪ねて
北山杉の生産方法の一つに、台杉があります。台杉仕立ては世界にも例を見ないと言われる独特な生産方法で、一つの株から数十本の幹を育成するというもの。台の部分から上の幹を伐採しても、次の枝が育って新たな幹になります。中川地区の高台にある宗蓮寺の近くには、樹齢400年以上と伝わる北山大台杉があり、太い幹の台からたくさんの幹が出ている様子が分かります。
北山杉のお母さん
台杉仕立てで北山杉を生産するためには、まっすぐに伸び、しっかり育つ遺伝子を持った木が必要です。その性質を持つのが白杉。中川八幡宮のご神木である樹齢約600年の白杉は、樹形が崩れることなく天に向かって伸びています。この木から挿し木で増やしたシロスギの子孫たちが、現在の台杉の風景を作っているそう。そのため、このご神木は北山杉の母樹と呼ばれています。