双ヶ岡の麓、500坪の敷地に建つ旧邸御室。大広間から見る庭園や、随所に凝らされた建築の意匠がすばらしい、昭和初期を代表する和風建築です。特別公開中の旧邸御室を見学してみましょう。
昭和初期建築の数寄屋造りの邸宅
昭和12年に、双ヶ岡北麓の広い敷地に建てられた旧邸御室。数寄屋造りの邸宅は、玄関脇に茶室を備え、大広間には付書院や琵琶床(びわどこ)、違い棚が造られています。昭和初期を代表する和風邸宅として、平成28年に国の登録有形文化財に指定されました。第43回 京の夏の旅キャンペーンの文化財特別公開で、普段は一般公開していない邸内が2018年9月末まで見学できます。
大広間に広がる緑の庭園
洋間の天井画や大広間の欄間など見所たくさんの旧邸御室ですが、大広間から眺める庭園の美しさは別格。カリン材の机に庭園の緑が映り込み、大広間の中にも庭園が出現したかのように見えます。どこまでが本物の風景で、どこからが鏡の世界なのか、一瞬分からなくなる幻想的な光景。ずっと眺めていても飽きない絶景です。
借景庭園を散策
樹木や石灯籠を巧みに配した日本庭園は、双ヶ岡を借景にしています。庭園東側に設けられた階段を上ると、木造平屋造の茶室「双庵(ならびあん)」に出ます。双庵からは、庭園や邸宅が一望のもと。さらに奥には御室山が臨め、壮大な眺望が広がります。自然と建築が見事に調和した、趣向を凝らした庭園の美を堪能しましょう。