右京区花園にある妙心寺は、46の塔頭を持つ日本最大の禅寺です。龍泉庵はその中でも寺格の高い、妙心寺四派の龍泉派の本庵。京の冬の旅キャンペーンで、5年ぶりに特別公開されています。
景川禅師を開祖とする龍泉庵
「京都にみる日本の絵画~近世から現代~」をテーマにした第53回京の冬の旅では、15の寺社仏閣で非公開文化財の特別公開が行われています。
龍泉庵は景川禅師を開祖として、1481年に細川政元によって建立されました。妙心寺は四派に分かれていて、景川禅師は「龍泉派」の祖にあたる人物。竜安寺の師匠のもとへ、16年間、雪の日も霜の日も通い続けた熱心な修行ぶりから「禅は景川」と讃えられました。
山門を通り、大きな鐘楼前の庫裏から中へ。方丈、書院の順に拝観していきます。
壮大なスケールで描かれた障壁画を眺めて
数ある塔頭の中でも最大規模といわれる方丈の北側には、力強い菩提樹の後方から朝日が昇る様子を描いた「黎明開悟の間」があります。手掛けたのは日本画家の由里本出(ゆりもといずる)氏。1999年の開祖五百年遠諱(おんき)に合わせて、72枚104面の障壁画が納められました。
お釈迦さまが悟りを開いた菩提樹に対して、入滅した際に咲いた沙羅双樹を描いたのが「樹下静寂の間」。枯山水庭園のある方丈南側の「霊峰四季の間」や「水到渠成(すいとうきょせい)の間」では、雄大な四季の風景が楽しめます。
寺に伝わる貴重な文化財の公開も
方丈の一角には、長谷川等伯の代表作の一つといわれる「枯木猿猴図(こぼくえんこうず)」の複製画が展示されていました。書院には狩野探幽筆「観音・龍虎図」や谷文晁(たにぶんちょう)筆「秋山出屋図(しゅうざんしゅつおくず)」などもあり、近世を代表する画家たちの作品を見ることができます。
中国の故事などを描いた、杉戸絵も見応えがあります。水を飲む虎と笑う三人の姿が見られる「虎渓三笑図」や、蛇を見つけて喜ぶ舞楽図「環城楽」などをゆっくりと鑑賞してみましょう。
特別公開は、2019年3月18日(月)までです。