平安時代に貴族たちが、狩りや宴のために嵯峨野へ通ったとされる千代の古道(ふるみち)。推定される道筋に建てられた道標をたどり、昔の姿に思いを馳せつつウォーキングを楽しみましょう。
貴族たちが遊んだ嵯峨野を歩く
渡来人の秦(はた)氏が開墾し、本拠地の一つとした嵯峨野。平安時代には貴族の遊行の地として、多くの別荘が建てられました。現在、地名に嵯峨野を冠する地域は広範囲にわたっていて、主に住宅地になっています。何気ない住宅地に点在する、歴史を伝えるスポットを訪ね歩いてみましょう。
地名に見る千代の古道の面影
三条通のスーパー横の道標から、さらに南へ歩いてみましょう。道標が点在する道は、西高瀬川、続いて有栖川を渡ります。この西高瀬川と有栖川は、立体交差することでひそかに有名です。西高瀬川を渡ってから有栖川を渡るまでの間には、嵯峨野千代ノ道町という地名があります。ここには千代の古道古墳があり、千代の古道の痕跡を感じさせます。
古い町並みを楽しむ
高田橋を渡ってしばらくは、細い道沿いに趣のある民家が建ち並んでいます。白壁の塀や蔵、屋根に煙出しを備えた重厚な構えの邸宅が多く残り、まるでタイムスリップしたかのよう。やがて道は梅津地域に入り、手描きの千代の古道道標に従うと梅宮大社の横に出ます。千代の古道の道標が建つのはここまで。王朝歌人の歌と、趣のある風景を楽しむ旅も終わりです。