約2000株の牡丹が境内を彩ることから「牡丹の寺」と名高い乙訓寺は、秋の紅葉も見事。山門から境内へ到る参道を覆うモミジが色付き、参拝者の目を楽しませています。
乙訓地方最古の寺院
乙訓寺は、推古天皇の勅願で聖徳太子が建立したとされる、乙訓地方で最も古い寺院です。延暦3年(784)の長岡京遷都時に、京内七大寺の筆頭として整備されました。翌年に藤原種継が暗殺されたときに、早良親王が幽閉された寺としても知られています。応仁の乱以降は荒廃していましたが、桂昌院により再建されました。
今里の弘法さん
弘仁2年(811)に弘法大師(空海)が別当に任じられ、乙訓寺に在住するようになりました。弘法大師は乙訓寺で初めて伝教大師(最澄)と面会し、密教の法論を交わしたと記録に残っています。本尊の八幡弘法合体大師像は、弘法大師が八幡神の頭を彫り、八幡神が空海を模して体を彫り、それらを合わせた仏像だとされています。弘法大師にゆかりが深いことから、乙訓寺は「今里の弘法さん」とも呼ばれています。
秋の乙訓寺を訪れる
乙訓寺は牡丹の寺として有名ですが、秋の紅葉も素晴らしいお寺。参道の紅葉のトンネルをくぐると、左手に日限地蔵尊が見えてきます。本堂に向かって右手には鐘楼、さらに右に毘沙門天を祀るお堂があります。この毘沙門天像は平安期の作で国の重文指定。拝観は有料(100円)、要予約です。境内の至る所で色付く紅葉を愛でながら、古刹の更けゆく秋を楽しみませんか。