享保2年(1717)に木食正禅(もくじきしょうぜん)上人が発願したと伝わる、洛陽六阿弥陀めぐり。3年3月休むことなく功徳日に六阿弥陀を巡礼すれば、無病息災、家運隆盛、祈願成就の功徳が高まるとされています。特に1月15日の初六阿弥陀めぐりで南無阿弥陀仏と念じれば、極楽往生できると伝わっています。
第1番 真如堂のうなずきの弥陀
洛陽六阿弥陀の第1番札所・真如堂は、正式には真正極楽寺という天台宗の寺院。本尊の阿弥陀如来には、不思議な伝説があります。慈覚大師が霊木から阿弥陀如来像を作り、もうすぐ完成というときに「比叡山の修行僧の本尊になってください」と願うと、阿弥陀如来像は首を振って拒否。そこで「都に下って全ての人々、特に女人を救ってください」と言ったところ、阿弥陀如来は頷いたそう。そのため、うなずきの弥陀と呼ばれるようになりました。
第2番 永観堂のみかえり阿弥陀
第2番札所の永観堂の本尊は、その独特な姿からとても有名な阿弥陀さま。永観律師(ようかんりっし)が夜通し念仏行に励んでいると、目の前に阿弥陀如来が現れました。思わず足を止めた永観を振り返り、「永観、遅し」と言ったという阿弥陀如来の姿を表したのが、みかえり阿弥陀です。首を左にかしげて振り向く姿が優美で、表情は慈悲に満ちています。
第3番 清水寺の阿弥陀堂から京都の街を一望
第3番札所は清水寺。清水の舞台で知られる本堂の先に、阿弥陀堂があります。江戸時代初期に再建された建物で、極彩色の装飾が施されています。建築の美しさもさることながら、阿弥陀堂と隣の奥の院からの眺望は抜群。右手には清水の舞台、正面にはモミジに覆われる境内の向こうに東西本願寺をはじめとする社寺や町家が甍(いらか)を連ね、はるか遠くの西山連峰まで見渡せます。特に夕方の古都の風情は格別です。
第4番 木食正禅上人が眠る安祥院
五条坂に面する門にかかった大きな提灯が目を引く安祥院は、木食正禅上人が享保年間に建立した浄土宗の寺院。元は平安時代に乙訓郡で創建された仁王護国院というお寺で、長いあいだ荒廃していたのを木食正禅上人が寄進を受け、移築再建しました。本堂の阿弥陀如来像は、正禅上人の作と伝わります。境内には正禅上人のお墓があり、正禅上人が狸谷不動院から移して祀った木食不動明王とともにお参りできます。
第5番 女性を救う倒蓮華(さかれんげ)の阿弥陀
恵心僧都が寛仁2年(1018)に奈良県當麻に建立した蓮台院が起こりの安養寺。恵心僧都の妹の安養尼が受け継いだことから、安養寺と寺号を改めました。本尊は倒蓮華と呼ばれる台座に立つ阿弥陀如来。寺伝によると、阿弥陀如来像を作る際に、何度作っても蓮華の台座にひびが入ったそう。そこで春日権現(かすがごんげん)に祈ったところ、八葉のさかれんげを作って安置するようにとお告げを受けたため、蓮華を逆さにした台座を作り安置しました。このことから、安養寺は倒蓮華寺とも呼ばれています。
第6番 誓願寺で結願
誓願寺の歴史は古く、飛鳥時代に天智天皇の勅願で創建。清少納言や和泉式部が帰依したことから、女人往生の寺として信仰を集めてきました。誓願寺で洛陽六阿弥陀めぐりは結願。「1月15日は仏を6万体作るにむかう」、「2月8日は五重塔を1万建てるにむかう」など、功徳日ごとにどんな功徳があるのかが決まっているので、巡礼を続けてみてはいかがでしょう。寄り道せずに巡礼すれば半日ほどで回れるので、京都観光のコースに取り入れるのもいいですね。