やすらい祭は、花と共に散り広がる厄神を鎮めるために行われる祭礼。今宮地域をはじめ4地域で行われていますが、このうち上賀茂地域では葵祭と同じ5月15日に行われます。
上賀茂地域に伝わるやすらい祭
平安末期に起源をもつというやすらい祭は、花が散るころに蔓延する疫病を鎮めるために行われる、花鎮めの祭です。鉦(しょう)や太鼓をたたきながら、赤熊(しゃぐま)をつけた鬼が舞い踊り、花傘に疫神を封じて疫社に送り込む祭礼で、京都では今宮神社、玄武神社、川上大神宮社、上賀茂の4地域で行われています。上賀茂地域のやすらい祭は今年(2019年)も5月15日に行われ、地域内を祭列が巡行しました。
祭列が地域を巡行
上賀茂やすらい祭は、地域住民による保存会によって守られ、国の重要無形民俗文化財に指定されています。11時ごろに岡本やすらい堂から祭列が出発し、梅ケ辻やすらい堂を経て、大田神社へ巡行。本殿に参拝してやすらい踊りを奉納した後、明神川の流れる社家町を練り歩いて、上賀茂神社へ向かいました。上部に花が飾られた風流傘に入ると1年間病気をしないという伝説があり、多くの人が傘の下に入って健康を祈願しました。
上賀茂神社で舞い踊る
祭列は上賀茂神社へ到着すると、一の鳥居前で、疫社のある今宮神社を遥拝(ようはい)しました。一の鳥居前で今宮神社へ向かってやすらい踊りを奉納した後、上賀茂神社の本殿に参拝して、ここでも踊りを奉納。奉納が終わると、門前の店舗の前でもやすらい踊りを舞い踊りました。上賀茂神社の境外摂社である藤木社にも踊りを奉納し、家々の前でやすらい踊りを披露しながら地域を練り歩き、疫病退散を祈願しました。