かつて、京都側から比叡山へと入る主要道であった雲母坂。その起点となる修学院には、長年修行僧たちに愛されてきた雲母漬のお店「穂野出」があります。
鷲尾家に代々仕えた田辺家
一乗寺駅から曼殊院通を東へ行くと、一際目を引く趣ある建物が見えてきます。入口には「きらら漬」の提灯があり、門の中には「鷲尾家雑掌宅跡」の駒札が。この場所には、江戸時代の元禄年間に雑掌として公家の鷲尾家に仕えていた、田辺家の住宅がありました。
雑掌とは年貢や公事(くじ)の徴収などの事務的な仕事を担い、田辺家も家領の管理や納米の用務等を行っていました。また家臣として宮中に出任したり、雲母坂の番所を兼ねたりしていたのだとか。鷲尾家に伝わる古文書をはじめ、多数の文化財や美術品が今も大切に保管されています。
元禄二年創業の老舗漬物店「穂野出」
江戸時代より田辺家に伝わるという雲母漬。元禄二年に創業した穂野出さんは、300年以上の長きにわたり一子相伝でその味を受け継いできました。
接待所に入ると、お店の方が雲母漬を勧めてくれました。一口サイズの小茄子を白味噌で漬けていて、程よい塩加減に白味噌のコクと甘さが絶妙。ごはんのお供や、お酒のあてにもぴったりです。
比叡山への険しい道のりの中で、人々の楽しみになっていたという伝統の雲母漬を味わってみませんか?