京都の町並や人気の寺社をゆったり楽しむなら、朝の散策がおすすめ。早起きした自分へのご褒美に、おいしい朝ごはんはいかがですか。第1回は、ちりめん山椒の名店「やよい」のカフェから。数量限定の「お茶漬け膳」を紹介します。
東山散策に便利な「やよい」の“はなれ”に隠れ家あり
「やよい」の本店は、観光スポットの多い東山エリアにあります。八坂神社の南楼門から南へ徒歩約2分。高台寺や清水寺へ続く下河原通りに面し、散策の道すがら立ち寄るのに便利です。朝10時開店なので、清水寺(6時開門)や八坂神社(24時間開門)に参拝したあとで、ひと休みしながらゆっくり朝ごはんを味わうのもおすすめです。
京都らしい風情のある町並に馴染む、数寄屋造りの店舗。手がけたのは名匠・中村外二氏です。大きな鞍馬石を使った玄関の敷石には毎朝、打ち水がされ、茶道のもてなしの心を大切にされています。この店の奥に、知る人ぞ知るカフェスペースがあるのです。入り口はちょっとわかりにくいのですが、店員さんに尋ねると丁寧に案内してもらえます。
和×北欧モダンの居心地いい空間を味わう
廊下を抜けた先がカフェのエントランス。石畳につくばいと待合をしつらえた、茶室の路地を思わせる空間です。カフェに入ると一転、純和風の店構えからは想像もしなかった北欧モダンなスペースに驚きます。デンマークを代表する照明ブランド「ルイスポールセン」のアンティークペンダントライトや、「ジェイエルムラー」のダイニングチェア、フィンランドのキッチンインテリアで知られる「イッタラ」のオブジェ。さりげなく配された憧れの名品に囲まれて、オーダーを待つ間も贅沢な空間を味わえます。障子越しの光のように穏やかな間接照明、奥まった“はなれ”ならではの静けさ。観光地の店舗内ということを忘れてしまうほど、心地よく落ち着ける場所です。
自慢の佃煮と土鍋で炊いたご飯、からだと心に美味しい朝食
ブランチにもいい食べごたえなら、品数豊富で目にも楽しい「お茶漬け膳」がおすすめ。朝食限定メニューではないのですが、平日10食・土日祝20食限定なので、できるだけ早い時間に来店を。来店確実なら予約も可能です。やよい自慢の佃煮盛り合わせとおばんざいを、土鍋で炊きあげた近江米のご飯とともに堪能できます。最初の1膳はそのまま、2膳目は特製だしのお茶漬けで味わってみてください。食事の後に小さなデザートもついて、おなかも心も満たされます。
あっさり軽めの朝ごはんには、「じゃこ粥」もあります。こちらは白粥に「おじゃこ」(ちりめん山椒)、おばんざい一品、汁物、香の物のセットで、朝11時までの限定です。また、甘味もおいしく良心的なので、ゆっくりお茶を楽しみたい日にもどうぞ。お茶や抹茶は京都の老舗、一保堂茶舗のもの。自家製の抹茶ゼリーとほうじ茶ゼリーがダブルで楽しめるゼリーパフェも人気です。
「やよい」からすぐそこの名所、石塀小路(いしべこうじ)
「やよい」の前の下河原通りを南へ少し歩くと、左手に細い路地の入り口が見えます。高台寺門下の「ねねの道」へ通り抜けができる「石塀小路」です。明治末期から大正時代にかけて形成されたと伝わる路地空間で、石畳を敷き詰めた小道の両側に石塀を持つ町家や旅館、料亭などが建ち並び、独特の風情ある景観をつくりだしています。石畳の一部には昭和50年代に廃止された市電の敷石も使われていて、古都の近代浪漫を体感できる人気スポットです。写真撮影は、残念ながら禁止されています。入り口を見つけたら、そっと入って静かに散策してください。