京都大学の東、吉田山の頂上に、木造の建物の静かなカフェがあります。時間から解き放たれた、穏やかなひとときを過ごしませんか。
広大な茶苑が、カフェとなって歴史を刻む
浄土寺、または銀閣寺道のバス停から神楽岡通りに入ると、「茂庵」と書かれた看板。なだらかな石段を上ると、銅板葺きの美しい住宅が整然と並んでいます。茂庵の前身となる茶苑を開いた谷川茂次郎が、大正末期から昭和初期にかけて築いたもので、京都大学の教官が多く住んでいました。
神楽岡通りのほか吉田神社や真如堂、今出川通りの吉田神社北参道からも、茂庵に行くことができます。ちなみに北参道鳥居左側の階段は、息が上がるほどの険しさなので、健脚の方向き、と思われます。どのコースも階段や坂道を登るので、ぜひ歩きやすい靴で。
茂庵が創られたのは大正時代。八瀬大原出身の谷川茂次郎は、新聞用紙を中心に扱う運輸業で成功。裏千家に入門して茶道を嗜んでいた茂次郎は、茶席や月見台、楼閣などからなる広大な茶苑を吉田山の山頂に築き、たびたびお茶会を開いて多くの人々と交流を楽しみました。
空と、緑と、眺望と、美味しいランチ
玄関で靴を脱ぎ、木の階段を上がって2階のカフェへ。ガラス格子の窓を通して、やわらかな光がさす店内には、京都市街を見渡せるカウンター席をはじめ、東山の大文字や深い緑を望むボックス席、ゆったりできるソファ席などがあります。