妙円寺は、松ヶ崎大黒天の愛称で親しまれている日蓮宗のお寺。毎年2月の中旬には、水行や祈祷、お火焚祭が行われる「加持大祭」があり、多くの参拝者でにぎわっています。
都七福神の一つ「大黒天」を祀る寺
妙円寺は、京都五山送り火の「妙法」で知られる松ヶ崎東山の麓にあります。400年以上の歴史を持つ寺で、1616年に本涌寺(現在の湧泉寺)に建てられた本覚院日英上人の隠居所に始まります。創建時には法華経の守護神として大黒天が祀られたことから、「松ヶ崎の大黒さん」と呼ばれるようになりました。都七福神の一つにも数えられ、お正月には七福神巡りをする人の姿も見られます。


冬の恒例行事「加持大祭」
加持大祭では、日蓮宗の荒行僧による水行や祈祷、お火焚祭が行われます。荒行僧とは、千葉県にある大本山中山法華経寺で100日間に渡る大荒行を満行した僧のこと。大荒行は1日に7回の寒水で身を清める「水行」や「万巻の読経」、「木劔相承」相伝書の「書写行」などを行い、食事は朝夕に白粥と梅干という大変厳しい修行です。
午後1時から、まず本堂で祈祷が行われます。続いて午後2時頃になると、太鼓の音が鳴り響き4人の荒行僧が本堂から出てきました。本堂前には水の入った大きな桶と手桶が4つ。荒行僧はそれぞれの桶の前に立ち、大きな声でお経を唱え始めます。


気迫に満ちた水行
荒行僧は手桶で水を汲み、勢いよく水をかぶります。寒空の下、ふんどし姿で何度も水をかぶる姿は圧巻です。水行は10分ほどで終わり、桶の水はほとんど無くなっていました。
荒行僧は白装束を纏い、再び本堂へ。その後、本堂前では火焚祭が始まりました。護摩壇が点火されると、辺りは煙で真っ白に。奉納された護摩木が、荒行僧によって次々と火の中に入れられます。すべての護摩木が焚かれ、お火焚祭は終了しました。


