ついに7月。いよいよ祇園祭の始まりです。
1日を「切符入り(きっぷいり)」といい、翌2日には17日、24日の山鉾の巡行順を決める「くじ取り式」が行なわれます。
応仁の乱以後続く伝統の行事
かつて祇園祭の巡行は、長刀鉾(なぎなたほこ)は別格として先陣争いが絶えなかったため、応仁の乱後に巡行が復活された1500年(明応9年)、巡行順をくじで決めることとされたのです。
各鉾町の代表が集まり巡行順を決めるくじを引く「くじ取り式」は、江戸時代には六角堂で、現在は京都市会本会議場で行なわれています。
京都市長の立ち合いのもと、羽織袴で正装した各町の代表が順々に議長席前でくじを引き、市長が番号を読み上げるたび拍手やどよめきが。どの山が今年の「山一番」か、鉾町の人間でなくても関心の高いニュースです。くじ取り式は、事前に申し込んで見学することもできます(今年は締め切り)。
全33基本の山鉾のうち、「くじ取らず」と言われる巡行順の決まっている山鉾は、前祭では長刀鉾、函谷鉾(かんこほこ)、放下鉾(ほうかほこ)、岩戸山、船鉾、後祭では北観音山、橋弁慶山、南観音山、大船鉾の計9基。残り24基がくじを引きますが、巡行の行列を美しく見せるため、巡行順の大枠は次のように決められています。
前祭(17日)
長刀鉾(くじ取らず)→山3基→函谷鉾(くじ取らず)→山1基→傘鉾1基→山1基→鉾1基→山3基→鉾1基→山1基→傘鉾1基→山1基→鉾1基→山3基→放下鉾(くじ取らず)→岩戸山(くじ取らず)→船鉾(くじ取らず)
後祭(24日)
橋弁慶山(くじ取らず)→北観音山(くじ取らず)→山3基→南観音山(くじ取らず)→山3基→大船鉾(くじ取らず)
このうち、まずは菊水鉾、月鉾、鶏鉾の3基の鉾の順が決められ、次に前祭の山13基、綾傘鉾と四条傘鉾の2基の順、後祭の山6基の順が決められていきます。
巡行の隠れた見どころ「くじ改め」
くじ通りに巡行しているかどうかを確かめるのが、巡行当日の「くじ改め」。四条堺町の「くじ改め処」で、奉行(に扮した京都市長)の前で行なわれます(後祭のくじ改めは寺町御池にて)。
くじ札の入った文箱を持った町行司が奉行の前へ進み出て、扇子を使って文箱の紐をほどきます。蓋を開けると同時に大きく一歩踏み出して文箱を奉行に差し掲げる独特の所作は、巡行の見どころの一つ。
奉行によりくじが読み上げられると町行司は後ずさりして文箱の蓋を閉め、再び扇子を使って文箱に紐を見事にかけ直すと、周囲からは感嘆の溜め息と拍手が。最近はこの大役を子どもが務めるところも多く、無事大役を果たした際にはひときわ大きな拍手が湧き上がります。
くじ改めが終わると、町行司の扇子を合図に山鉾は動き出しますが、奉行の前で懸装品がよく見えるよう山を抱え上げてぐるりとひと回りしたり、綾傘鉾は棒振り踊りを披露するなど、辻回しとはまた違った楽しみのある観覧場所です。
今年の巡行順がどうなるか、明日のくじ取り式が楽しみです。
(7月3日追記)
7月2日、くじ取り式が終わり、今年の巡行順が決定しました。
前祭(17日)
長刀鉾(くじ取らず)→孟宗山(山一番)→芦刈山→伯牙山→函谷鉾(くじ取らず)→油天神山→四条傘鉾→占出山→月鉾→蟷螂山→木賊山→山伏山→菊水鉾→郭巨山→綾傘鉾→太子山→鶏鉾→白楽天山→保昌山→霰天神山→放下鉾(くじ取らず)→岩戸山(くじ取らず)→船鉾(くじ取らず)
後祭(24日)
橋弁慶山(くじ取らず)→北観音山(くじ取らず)→役行者山(山一番)→八幡山→鈴鹿山→南観音山(くじ取らず)→鯉山→黒主山→浄妙山→大船鉾(くじ取らず)
【第4回】を読む(記事公開後にリンクいたします)