西陣と並んで、京都の着物産地として栄えた室町。その一角の路地に店を構える「四季料理・かわむら」は、舌の肥えた室町の旦那衆に愛された割烹だけに、旬の素材をリーズナブルな価格でおいしく食べさせてくれる。
焼き立ての鱧を使った鱧きゅうがおすすめ
京都の夏の味覚といえば、鱧(ハモ)。梅雨の雨を呑んだ鱧が絶品とされ、「シャッ」「シャッ」という骨切りの音と、牡丹の花が咲いたような真っ白い落としが、季節の訪れを告げてくれる。
代表的な鱧料理は落としのほかに、鱧しゃぶ、焼き霜、照り焼きなどがあるが、「かわむら」でぜひ食べてほしいのが鱧きゅう。その場で焼いた鱧のサクサク感と甘み、そして、酢でもんだきゅうりのシャキシャキ感と酸味のバランスが絶妙で、さりげなくおいしい。

おばんざいとビーフカツ
「かわむら」では、カウンターの上の大きな鉢におばんざいが並べてあり、料理ができてくるまで、それをあてに飲むのが定番である。ひろうす、鱧きゅうのあと、メインにビーフカツ(普段はビフカツという)を頼んだ。
割烹で肉とは似合わない気がするが、京都では、和食の合間にステーキなどをつまむことは不思議ではない。ただし、豚でも、鶏でもなく、あくまで牛。トンカツではなく、ビーフカツである。



