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烏丸の裏路地『撞木図子』で麺を喰らう。

丸竹夷二押御池(まるたけえびすにおしおいけ)〜

だいたいの京都人は子供の頃に、この唄で市内の通り名を覚える。東西に通る道を、北から丸太町通、竹屋町通、夷川通、二条通、押小路通、御池通と頭の文字をとった歌詞を、メロディーに乗せて歌う。

これの南北バージョンもあるので、全部覚えるとだいたい50本の通り名と位置関係を覚えられる。

四条通

ご存知のように、京都の住所表記は特殊で、◯◯通△△上る、下る、西入、東入と表記する。何かの書類に書くときは長ったらしくて面倒なのだが、場所を尋ねる時にはものすごく便利なのだ。

地図が無くても、東西と通りと南北の通りを覚えておけば、クロスした地点から東西南北どちらに進めば、目的地があるかが即座に分かるからである。子どもの頃に、他府県にはこのシステムが無いと知った時、「どうやって目的地にたどり着くのか」と不思議に感じた思い出がある。

名も無き道“ロージ”にこそ京都探索の醍醐味が

基本的に京都市内の通りは名前がついているので、この唄が成り立つのだが、中には通りと通りをつなぐ名前もない路地がある。長年、京都に住んでいても、「こんなところに路地あるんや…」と新たな発見をして、好奇心を抑えきれずにその路地を歩いてしまう。

路地

「おぉ、通り抜けるとここに出るのか!」と、まるでロールプレイングゲームで隠し通路を発見した時のような喜びを感じるのだ。ましてや、良さげなお店があった時には、隠し通路でレアアイテムまで見つけた気分。

前段が長くなってしまったが、つまりはこういう“ロージ(路地)クエスト”も京都の醍醐味なのではと感じている。

個性豊かな飲食店が集まるロージ

撞木図子(しゅもくずし)もそういった路地のひとつ。四条通の一筋北側に位置し、室町通から新町通へと東西に抜ける路地の一角を称して、そう呼ぶらしい。路地が交差する丁字路が、仏具の一種で鐘などを鳴らす丁字形の棒“撞木”のカタチに似ているからだとか。

撞木図子

かつてはほとんどが住宅だったのだろうが、現在では、飲食店が立ち並ぶ“グルメストリート”になっている。そのお店のどれもが個性的で、この路地に立ち入ると端から一軒ずつ入って行きたい衝動に駆られる。まさしく、ロージクエスト。

夜の撞木図子

撞木図子にあるお店のほとんどが、夜からのお店なのだが、それはまたの機会に。今日はお昼に食べられる麺のお店二軒をご紹介。太めのモチモチ麺が楽しめるつけ麺・ラーメンの「和醸良麺すがり」、そして伝統的な細く・やわらかい京うどんの「めん房・やまもと」。いずれもお昼時には満員になる人気店である。

和醸良麺すがり

行列のできるつけ麺・ラーメンのお店「高倉二条」の系列店舗。お店は小さな看板が掲げられているのみ。風情ある京町家の外観は、注意しなければ通りすぎてしまいそうなほど、風景に溶け込んでいる。小さな戸をくぐり、“とおりにわ”の奥に設置してある機械で食券を購入する。

和醸良麺すがり外観

おなじみのモチモチ食感の麺は、スタンダードな全粒粉麺とゆず風味の麺が選べ、鶏ベースに魚介をあわせた濃厚なスープは太麺との相性は◯。名物の炙った牛のホソが入った “もつ”そば(800円)、“もつ”つけ麺(900円)は、ホソ独特の食感がアクセントになっている。

もつそば

お店はスープがなくなり次第終了となので、ご注意を。

めん房やまもと

昭和55年創業とのこと。おそらくは撞木図子内では一番古くからある飲食店だと思われる。以前、近くにあった中華料理屋もかなり古くからありそうだったのだが、今は無くなってしまったようだ。

こちらは看板、のれん、メニューが表に出ているので、わかりやすい。 名代の天ぷらそば(800円)の他、昔ながらのうどん屋らしいメニューが並ぶ。昨今の“コシ”全盛のうどん界とは一線を画する、細く、“やわい”、伝統的な京うどんを出す店だ。

めん房やまもと

スタンダードメニューばかりかと思いきや、人気のカレーうどんには、珍しい“カツカレーうどん”(950円)も。だしの効いたカレーが衣に染みこんだカツはやわらかく意外とあっさりと食べられる。

カツカレーうどん

すがりは22:00まで、やまもとは20:00までなので、もちろん夜でも食べられる。さすがに時間的に「飲んだ後のシメに・・・」というのは難しそうだ。夜には寿司、居酒屋、タン専門店、もつ鍋、トラットリア、飲茶バー、オーセンティックバーなどなど個性豊かなお店が出揃う。老舗料亭・瓢亭の味が気軽に味わえる「瓢亭MARU」というビッグネームもこの一角に。

烏丸駅近くなので、仕事帰りや観光後に立ち寄ってみては。

detail 店 名 和醸良麺すがり
住 所 京都府京都市中京区観音堂町471-1
電 話 非公開
URL http://www.takakura-nijo.jp/shop/
めん房やまもと入り口 店 名 めん房やまもと
住 所 京都府京都市中京区新町通四条上る東入観音堂町473
電 話 075-255-0856
URL http://menbo-yamamoto.biz/

この記事を書いた人

もんど
京都生まれ、京都育ち。飲み歩きが好きで、お酒ならなんでも。今夜もひとり夜の京都を徘徊する?!ラブ阪神タイガース、ラブハードロック&ヘヴィメタル(洋楽)。