すっかり秋が深まり、底冷えの冬がそうろと近づいてきました。そんな時は、やっぱりお鍋です。芸舞妓さんをはじめ、著名人に愛されている、京都のちゃんこ鍋でほっこりしましょう。
風情たっぷり木屋町に佇む
逆鉾の創業は1966年、井筒部屋の味を八代目逆鉾が伝えるべくオープンして今年で50年。高瀬川の畔、木屋町通沿いにあります。すぐ裏手には花街・先斗町があり、風情たっぷり。行灯が燈り、揺らぐ暖簾の奥に期待が高まります。
メニューはちゃんこ鍋のみ
店内はテーブル席とお座敷。お店のあちらこちらに花団扇が目につきます。「芸舞妓さんや、歌舞伎役者さんもよく来てくださいます」と女将さん。
逆鉾のメニューは、醤油ベースの名物「ソップ鍋」3900円(付出し込)と、ソップ鍋のお出汁に、数種の味噌をオリジナルブレンドした“うま辛味噌”を加えた「うま辛ちゃんこ」のみです。なんという潔さ!確固たる自信がうかがえますよね。
定番のソップ鍋は、醤油ベースのお出汁。特製肉団子やごぼう、白菜、お葱、お豆腐、鶏、おあげなどの具材からもたっぷり、いい出汁が出ています。
ちなみに、逆鉾ではちゃんこ鍋をすべて目の前で作ってくださるので、手出しは無用。「一番いい状態で食べていただけるように、お作りするのが逆鉾流なんです」。
気になったのは特製の肉団子。鶏と豚ミンチが半分ずつ入っているのですが、アワビの貝殻の上にこんもりと盛られていて、女将さんが器用に箸で丸めてお鍋に投入してくれます。思わず見とれてしまう華麗な手さばきです。
飲み干したくなるお出汁
いい感じに野菜が煮えてきたところで、「どうぞ~」と女将さんからOKの声。まずは、お出汁をひと口。あっさりだけど旨みとコクがあり、お出汁だけでごくごく飲んでしまいます。お野菜はシャキシャキ、肉団子はニンニクがいい仕事をしていて、ほろっと口の中で崩れます。鶏と豚がハーフ&ハーフなのも旨味ポイントなのかもしれません。
お鍋も後半にさしかかったところで、女将さんから「ソップ鍋は実は赤ワインと合うんですよ」とお聞きして、赤ワインと一緒にいただきました。お醤油味と赤ワインって相性がいいことを発見。おすすめです。
〆はうどん、おもち、雑炊から選べますが、うどんをチョイス。〆用にちょっと残しておいた、鶏や肉団子と一緒にいただきます。ちなみに、欲張りの方は途中からでも「うま辛味噌」を加えてもらうことができます。途中で味をチェンジすると2度美味しいですよ。
地元で愛されているお店「逆鉾」。50年変わらない、秘伝の出汁が守られているからこそ、長年通うファンがいるのですね。繁華街にありながらどこか隠れ家的な雰囲気を合わせもつ、お店です。