紫式部の邸宅跡、源氏物語の執筆地として知られる廬山寺は、一風変わった節分会で毎年人気を集めています。通称「鬼おどり」と呼ばれる、ストーリー性のあるユーモラスな鬼退治は一見の価値ありです。
白鬼による身体健全の御加持が受けられる
廬山寺の節分会「追儺式鬼法楽」は、通称「鬼おどり」と呼ばれます。出現する三匹の鬼(赤・青・黒)は、貪欲(欲)・瞋恚(しんに)(怒り)・愚痴(ねたみそねみ)の三毒を表現しています。年の変わり目とされる節分にこの三毒を追い払い、新しく始まる一年の健康と幸せを祈る伝統的な行事です。そして何より、鬼退治をする日に「鬼による」御加持を受けられるのが廬山寺の節分会の特徴です。鬼は鬼でも、邪気払いをされた白鬼なのです。
力強くもゆったりとした鬼おどり
太鼓と法螺貝の音とともに、赤鬼・青鬼・黒鬼が大師堂前の舞台上に勇ましく出現します。三匹の鬼は足拍子をとっておどりはじめ、堂内で執り行われている厄除け開運、福寿増長の護摩供を妨げます。ゆったりとした動きでありながら手強そうにみえますが、護摩供に加えて追儺師による邪気払いの法弓、蓬莱師・福娘から撒かれた蓬莱豆・福餅の威力を前に鬼たちは力を失い、堂内を追い出されます。よたよたと倒れそうな姿をみると少しかわいそうな気も……。境内のあちらこちらからは、鬼の姿を目の当たりにした子どもたちの泣き声が聞かれました。
家族みんなで食べたい! 六年寿命が延びる紅白の蓬莱豆
鬼が退散したあと、蓬莱師と福娘によって観客に福餅と蓬莱豆が撒かれます。廬山寺の蓬莱豆は紅白の砂糖で大豆をコーティングした、甘くておいしく見た目にもかわいい豆です。紅白どちらか一粒で三年、二粒で六年寿命が延び、福餅を食べると開運出世するといわれています。また、餅撒き・豆撒きでゲットできなかった人は、授与所で祈祷されたものを購入することができます。ぜひとも持って帰って、家族と一緒に一年の健康を祈りながら食べたいですね。