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流れ橋EC

時代劇にも登場した「流れ橋」へ、梅雨の晴れ間にサイクリング

木津川にかかる上津屋橋(こうづやばし)は、川の水位が上がると橋げたや橋板が流れるように設計された通称「流れ橋」。2016年3月に復旧工事を終えて開通した流れ橋を、自転車で訪ねました。

嵐山と木津を結ぶサイクリングロード

京阪電鉄八幡市駅の改札を出てすぐ左手にある「八幡市駅前観光案内所」では、レンタサイクルを受け付けています。借りるときに1000円支払い、5分ほど歩いて駐輪場へ移動。駐輪場の近くにある御幸橋から流れ橋までは、木津川に沿ってサイクリングロードを走ります。自転車を返すと保証金500円が返金されます。

サイクリングロード
御幸橋から見たサイクリングロード。京阪電鉄の赤い鉄橋に向かってスタート。
自然の力を受け流す

30分ほど走ると、茶畑の向こうに流れ橋が現れます。木津川には渡船場がありましたが廃止され、1953年に橋が完成しました。コンクリート製の永久橋を建設すると費用がかさむため、「流れ橋」になったといいます。周りに電柱や民家、コンクリートの護岸などがないため、時代劇や映画などの撮影にしばしば利用されました。

茶畑の向こうの流れ橋
長さ356.5m、幅3.3m、日本最長級の木造橋。
流れ橋石碑
藤田まこと氏が寄贈した石碑。かつては撮影で年2,3回訪れていたという。

木津川が増水すると、橋脚を残して橋板が水に浮きあがって流れます。一部が流されることで水の抵抗を減らし、破壊や堤防の決壊に到る圧力を受け流すという、水の流れを利用した設計。橋板は、橋げたの両側の丸太に通された太いワイヤーロープで橋脚と結ばれているので、水が引いたらロープをたぐり寄せて元の状態に戻すことができます。

流れ橋を渡る
歩行者と自転車の専用橋で、自転車は降りて通行する。立ち止まると、他の人の歩く振動で橋が小さく上下するのが感じられる。
流れ橋の分割部分
橋の分割部分。水の抵抗を減らすため、増水すると橋は8つに分割されて流れる。
21回流された橋

1953年に架設された流れ橋は、約60年間で21回、2011年からは4年連続で流出しました。流されてしまうと復旧まで数ヶ月間は橋を渡れず迂回しなければならないこと、復旧のたびに数千万円単位の修繕費が発生することから、永久橋への変更も検討されました。

木津川の流れ
雨の翌日に訪れたからか、思ったより水の流れが速い。水面を見下ろすと足がすくんだ。

永久橋の建設には莫大な費用を要します。また時代劇だけでなくバラエティー番組やドラマにも流れ橋が登場したことから観光客が増加しました。橋の維持を求めて署名活動も行われます。そして、これまで通りの「流れ橋」として、約1年7ヵ月ぶりに復旧の日を迎えることができました。

流れ橋 - 橋脚1
木造橋の風情を保ちながら、コンクリートも用いた橋脚。
流れ橋 - 橋脚2
これまでより75cmかさ上げし、流木などが引っ掛からないように橋脚の間隔を約2倍に広げたという。
流れ橋 - サギ
中州にはサギがいた。流れ橋周辺にはさまざまな野鳥が生息している。
流れ橋 - 茶畑
流れ橋とその周辺の景観は、高品質てん茶の産地として「府景観資産」に登録された。水辺の砂地で栽培するお茶を「浜茶」と呼び、山間部で栽培する「山茶」よりも色が濃いという。

基本情報

この記事を書いた人

Miki
緑と海が好き、身体を動かすことが好き、食べることが大好き、食欲もりもり天然人。